令和5年 予備試験 論文式 刑法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑 法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 監禁罪の構成要件該当性の枠組み提示と本件行為の特定5点
- 監禁罪の保護法益(移動の自由)の意義をめぐる対立の提示12点
- 各立場からの帰結と問題点の相互批判9点
- 具体的事実と保護法益論との関連づけ(あてはめ)9点
設問2
- 携帯電話機持ち去り行為-窃盗罪の客観的構成要件5点・簡潔に
- 携帯電話機についての不法領得の意思(利用処分意思)の検討13点
- 携帯電話機について窃盗罪を否定した場合の器物損壊罪の成否5点・簡潔に
- 現金3万円抜取り行為-客観的構成要件の充足と故意の問題の所在5点
- 死者の占有と窃盗罪の故意(錯誤)の処理10点
- 殺人-問責対象行為の特定と第1行為についての擬律(因果関係)9点
- いわゆる遅すぎた構成要件の実現-因果関係の錯誤と結論10点
- 罪数処理3点・簡潔に
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
〔設問1〕は、甲がXと山中にある無人の小屋で過ごしていた際、甲が同小屋か
ら出て離れている間に熟睡しているXが目を覚まして同小屋から逃げないようにす
るため、同小屋の出入口扉を外側からロープで縛った行為に監禁罪が成立するとい
う主張の当否について、具体的な事実関係を踏まえつつ、反対の立場からの主張に
も言及して論述することを求めるものである。【事例1】では、Xは、熟睡してい
るため上記小屋から外に出る意思がなく、上記出入口扉をロープで縛られたことに
も気付かず熟睡し続け、目覚める前にロープが解かれたことから、甲の行為は、X
の現実の移動の意思に影響を及ぼしていない。このような場合に監禁罪が成立する
という主張の当否について、監禁罪の保護法益である移動の自由の意義に関して、
反対する立場からの帰結やその問題点等にも留意しつつ論じなければならない。そ
の際には、本件の具体的事実が保護法益論とどのように関連するのかを意識しなが
ら論じる必要がある。
〔設問2〕は、甲が、⑴眠っていたXが所持していた携帯電話機を自分のリュッ
クサックに入れ、⑵Xを殺害するため、眠っていたXの首を両手で強く絞め付け
(以下「第1行為」という。)、Xが死亡したものと思い込んでいたところ、Xが
所持していた財布内から現金3万円を抜き取って自分のポケットに入れ、さらに、
⑶Xが死亡したものと思い込んだまま、実際には生きていたXを崖下に落とし(以
下「第2行為」という。)、死亡させたことを内容とする事例について、甲の罪責
に関する論述を求めるものである。
⑴では、甲は、Xの携帯電話機を離れた場所に捨てておけば、同携帯電話機のG
PS機能によって発信される位置情報をXの親族等が取得したとしても、Xの死体
発見を困難にできるなどという目的で、同携帯電話機を自己の占有下に移してい
る。これは犯跡隠蔽の意図である一方で、同携帯電話機のGPS機能を利用する意
図も含まれる点を踏まえ、甲に不法領得の意思を認めるか否かについて利用処分意
思の内容を具体的に明らかにしつつ検討する必要がある。その上で窃盗罪あるいは
器物損壊罪の成否を論じることになろう。
⑵では、甲が現金を抜き取ってポケットに入れた行為は窃盗罪の客観的構成要件
を充足するが、Xが死亡していると誤信していることから、甲に窃盗罪の故意が認
められるかについて、死者の占有を認めるか否かとの関係を明らかにしつつ検討す
る必要がある。
また、⑵の殺意をもって行われた第1行為から死亡結果が発生せず、⑶の殺意な
く行われた第2行為によって死亡結果が発生した場合(いわゆる遅すぎた構成要件
の実現)の殺人既遂罪の成否に関し、問責対象となる行為を特定して各行為の擬律
判断(第1行為と死亡結果との因果関係及び因果関係の錯誤並びに第2行為の処理
等)を検討する必要がある。
いずれについても、刑法の基本的な概念に関する正確な理解を前提に、事実関係
を的確に分析し、それを法的に構成する能力や、具体的な事実を法的に分析する能
力が問われている。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和5年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
