令和7年 予備試験 論文式 民事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[民事訴訟法](〔設問1〕と〔設問2〕の配点の割合は、2:3)
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 民訴法220条4号ニ「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(自己利用文書)の意義・趣旨と判断基準の提示10点
- 判例(稟議書に関する平成11年決定)の射程と本件予測表との異同の意識6点
- 内部文書性の否定—Yの内部規則②(取締役会の同意により裁判手続等で提出できる旨)の評価12点
- 開示による看過し難い不利益の不存在—本件予測表の内容の評価12点
- Yからの反論の想定と再反論6点
設問2
- 民訴法142条(重複起訴の禁止)の規定内容・趣旨と相殺の抗弁への適用の可否10点
- 訴え先行型の相殺の抗弁に関する判例(最判平成3年12月17日)の提示6点
- X債権のうち本訴で請求されていない部分(残部2億円)についての適法性14点
- X債権のうち本訴で請求されている部分(1億円)についての適法性—本訴・反訴の同一手続性14点
全体
- 論理的構成・文章表現10点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
設問1は、文書提出命令の申立てに当たり、株式会社Yにおける融資の稟議書の
添付書類である損益予測表(以下「本件損益予測表」という。)が、民事訴訟法第
220条第4号ニに規定する「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に該
当しないとする立論からの検討を求めるものである。同文書の該当性については、
最決平成11年11月12日民集53巻8号1787頁において判断基準が示され
ており、同決定では、融資の稟議書についてその該当性が肯定されている。本件損
益予測表は、判例において取り扱われた融資の稟議書の事例と同じく融資の決裁に
関連する文書であるものの、所持者における文書の取扱いや、提出が求められてい
る文書の内容が稟議書の事案とは異なるため、これらの違いを意識した検討が求め
られる。
前記の判例が示した判断基準を踏まえて、株式会社Y内部における稟議書及び添
付書類の取扱いの具体的な規律や本件損益予測表の内容など問題文で示された具体
的な事情を整理・評価して、文書の所持者である株式会社Yからの反論を想定しつ
つ、Xの立場を説得的に論じることが期待される。
設問2は、相殺の抗弁と二重起訴に関して、制度相互の関連性や関連する判例の
理解を具体的な事例を通して問うものである。相殺の抗弁については、民事訴訟法
第142条の規定内容や趣旨とともに、審理における相殺の抗弁に係る取扱いや既
判力の発生を踏まえた制度の理解を示すことが求められる。この点について、判例
は、一般的には訴え先行型の相殺の抗弁について同条を理由として、相殺の抗弁の
適法性を否定している(最判平成3年12月17日民集45巻9号1435頁)。
他方、いくつかの事例では、相殺の抗弁の適法性を肯定しているところ、本問との
関連でいえば、X債権のうち本訴で訴求されていない部分については、明示の一部
請求に関する判例法理を前提とし、最判平成10年6月30日民集52巻4号12
25頁を踏まえて、相殺の抗弁の適法性を検討することが求められる。また、X債
権のうち本訴で訴求されている部分については、請負契約に基づく請負代金債権と
同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権に関する事例である最判令和2年
9月11日民集74巻6号1693頁を踏まえて、相殺の抗弁の適法性の観点から、
貸金債権と貸付に当たっての説明義務違反に由来する損害賠償債権との関係を論じ
ることが期待される。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和7年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
