令和7年 予備試験 論文式 行政法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[行政法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 原告適格の判断枠組み(行訴法9条1項「法律上の利益を有する者」・同条2項)7点
- 養蜂振興法・本件条例の目的及び処分要件からの保護利益の抽出7点
- 競業者の原告適格に関する判例との対比5点・簡潔に
- X1の原告適格を肯定する側の論証11点
- X1につき原告適格を否定する反対の立場4点・簡潔に
- X2の位置関係に関する検討(距離5キロメートル)5点
- X2の支部長としての地位に基づく肯定論と否定論8点
設問2
- 知事の裁量の認定7点
- 裁量統制の審査方法の定立5点
- 考慮事項① 蜂群間の距離8点
- 考慮事項② 蜜源の量に対する評価9点
- 考慮事項③ 既存事業者との利害調整8点
- 「著しく」過剰の場合に限る運用方針への評価7点
全体
- 論理的構成・文章表現・設問の要求への応答9点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は、Y県蜜蜂転飼条例(以下「本件条例」という。)に基づく許可について、
既存の事業者が、転飼を求める事業者への許可に対して取消訴訟の提起を検討する
という設例の下で、原告適格に関する基本的な理解を踏まえて前記既存の事業者の
原告適格について適切に判断する力及び本案での主張を組み立てる力を問う趣旨の
問題である。
設問1は、転飼許可取消訴訟に関する既存事業者の原告適格の有無を問うもので
ある。養蜂振興法は、蜂群の配置を適正化することで蜂蜜等の生産物の増産と農作
物等の花粉受精の効率化を図ることを目的としている。そこで、競業者の原告適格
に関する諸事例(最判昭和37年1月19日民集16巻1号57頁、最判平成26
年1月28日民集68巻1号49頁)との類似性に着目すると、蜂群が過剰になる
ことによって事業者の経営が悪化して廃業者が増加し、養蜂振興法が実現しようと
している目的を達成できなくなることから、同法が目的として掲げる蜂群の適正な
配置によって保護される既存事業者の利益は、処分要件において考慮されている利
益であるといえるが、更にこの利益が個別的利益としても保護されているかという
点について、X1とX2で異なる検討が必要である。
X1は、Aの転飼先から自身の蜂群までの距離が1.6キロメートルしかなく、
直接に蜜源を奪い合う関係にある。そして、転飼許可に関する「蜂群数が転飼しよ
うとする区域内の蜜源に比べて過剰」(本件条例第3条第2項第1号)という要件
及び地域における蜜源の総量が限定されているという事情を踏まえて許可制度が保
護しようとしている利益の内容・性格等を考慮すれば、蜂群の適正な配置が確保で
きないことによって生じる被害を受けないという利益を、個々人の個別的利益とし
ても保護すべきものとする趣旨を含むと考えることができる。また、許可の申請書
に転飼場所から半径2キロメートル以内の蜂群の位置が記載された見取図の添付が
本件条例第4条により求められていることにも着目し、転飼先との距離や位置関係
を中心として社会通念に照らし合理的に判断することで、地理的に特に近い場所で
養蜂業を営むX1の原告適格を認めることも考えられる。他方で、養蜂振興法第3
条本文が、事業開始時には届出のみを要求し、蜜源の利用に関する調整を予定して
いないことから、利益の内容・性格に着目して個別的に保護されているとはいえな
いと考えることも可能である。
これに対して、Y県養蜂農業協同組合のC地区支部長であるX2は、同じC地区
で養蜂業を営んでいるとはいえ、Aの転飼先から自身の蜂群までの距離が5キロメ
ートルあることから、「養蜂振興法及びY県蜜蜂転飼条例に関する手引」(以下
「手引」という。)の記載を前提とすると、直接に蜜源を奪い合う関係にはない。
しかし、手引によれば、蜂群が過剰になることを防ぐために、Y県では養蜂農業協
同組合支部長が調整を行っており、事前調整報告書が申請書に添付されていればY
県による実地調査が省略される運用がなされていることから、支部長には当該利益
を主張し得る地位が法令上付与されているとの見方があり得る。他方で、養蜂振興
法や本件条例には、距離制限や行政計画による需給調整のような、許可の総数を限
定する規定は存在していないこと及び支部長の押印がある事前調整報告書が添付さ
れるとY県が実地調査を行わない運用は条例等の法的根拠に基づくものではなく、
参考資料である手引に記載されているにすぎないことに着目すると、個々人の個別
的利益としてまでは保護されていないと結論づけることもできる。
設問2は、本件処分の違法性に関する内容を問うものである。転飼許可に関する
前述の要件には不確定概念が含まれており、蜂群の適切な配置に関する基準が必ず
しも明確でないことからすると、知事の判断には裁量が認められる。このことを前
提に、考慮すべき事情を考慮しているかを中心とする司法審査がなされることとな
る。具体的な考慮事項として、①蜂群間の距離、②蜜源の量に対する評価及び③既
存事業者との利害調整が挙げられ、各事項について、Y県の判断理由を把握した上
で、これに対する有効な反論を提示することが求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和7年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
