令和3年 予備試験 論文式 刑法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑 法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1(Y宅からの持ち出し・窃盗罪)
- 本件帳簿が甲の所有物であることと刑法242条の適用―「他人が占有」する財物の意義10点
- Yの占有の保護適格に関する具体的あてはめ9点
- 自救行為による違法性阻却の可否8点
- 窃盗罪の成立要件の確認と結論3点・簡潔に
設問2(放火)
- 客体の確定と適用条文(自己所有の建造物等以外放火罪・110条2項)8点
- 「公共の危険」の発生の有無(意義とあてはめ)12点
- 公共の危険の認識の要否と成立罪名9点
設問3(Xの死亡)
- 乙の罪責―殺人罪の成立(202条との区別)5点・簡潔に
- 甲の不作為による関与―作為義務の有無10点
- 結果回避可能性の要否・程度(正犯か幇助かとの関係)8点
- 関与類型の確定(不作為による幇助・片面的従犯)5点
- 抽象的事実の錯誤の処理と甲の成立罪名8点
全体
- 論理的構成・文章表現・罪数処理5点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,⑴甲が,脱税の証拠である甲所有の帳簿(以下「本件帳簿」という。)をYに
預けていたところ,情を知ったYからその返還と引き替えに100万円の支払を求められ
たため,Y宅に忍び込み,Yが保管していた本件帳簿が入った段ボール箱をY宅から
持ち出したこと,⑵その後,⑴の犯行を知ったYから警察に通報する旨を告げられた甲
が,本件帳簿を廃棄するため,自宅近くの防波堤で,これに火をつけて燃やしたところ,
火のついた紙片が同防波堤にあった漁網に接触してこれを燃焼させ,その煙が釣り人を
包み,釣り人の原動機付自転車にも延焼するおそれを生じさせたこと,⑶甲の妻乙が,
自宅において,甲の実父Xの首を絞めて窒息死させたところ,甲は,その状況を目
撃しながら,Xが死を望んでいるものと考えてこれを放置してXを死亡させたことを
内容とする事例について,甲及び乙の罪責に関する論述を求めるものである。
⑴については,本件帳簿が甲の所有物であることを踏まえて,これが刑法第242条に
いう「他人が占有」する財物に当たるかを検討しつつ,自救行為としての違法性阻却の可
能性も含めて,甲に窃盗罪が成立するか否かに関して,本事例における事実関係を基に検
討する必要がある。
⑵については,本件帳簿が自己所有建造物等以外放火罪の客体に当たることを前提に,
本事例において,同罪における「公共の危険」が発生したといえるか否かを検討するとと
もに,これを肯定したときには,同罪の成立に「公共の危険の認識」が必要かどうかを踏
まえた成立罪名を検討する必要がある。
⑶については,乙に殺人罪が成立するところ,甲の不作為による関与の可罰性を検討す
るに当たり,作為義務の有無,結果回避可能性の要否,関与類型,抽象的事実の錯誤の処
理等に関する基本的理解を踏まえつつ,本事例における事実関係を適切に当てはめて,甲
の罪責について具体的に検討する必要がある。
いずれについても,各構成要件等の正確な知識,基本的理解や,本事例にある事実を丁
寧に拾って的確に分析した上で当てはめを具体的に行う能力が求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和3年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
