令和2年 予備試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑事訴訟法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
総論(問題の所在)
- 免訴事由としての「確定判決を経たとき」(刑訴法337条1号)と憲法39条の指摘、本問の問題の所在の摘示6点・簡潔に
総論(規範定立)
- 一事不再理効の根拠・趣旨(二重の危険の禁止)の論述12点
- 一事不再理効の客観的範囲の判断基準の定立(公訴事実の同一性基準/同時訴追可能性基準等)12点
- 本問で問題となるのが公訴事実の「単一性」であることの明示(狭義の同一性との区別)10点
- 公訴事実の単一性の判断方法(訴因対比説か実体judgment説か)と、その根拠15点
総論(判例理解)
- 最判平成15年10月7日の理解の提示10点
設問前段(【事例】)
- 【事例】(前訴・後訴とも単純傷害罪の訴因)への当てはめと結論15点
設問後段(仮設事例)
- 仮設事例(前訴が常習傷害罪の訴因・確定)への当てはめと結論14点
総論
- 論理的構成・文章表現6点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,常習傷害罪として包括一罪を構成する可能性がある複数の行為の一部に
つき,確定判決を経た事件(以下「前訴」という。)と,前訴の確定判決前に犯さ
れたが同判決後に発覚して起訴された行為に関する事件(以下「後訴」という。)
の両者,あるいは一方が,単純一罪として訴因構成された事例において,前訴の確
定判決の一事不再理効が及ぶ範囲の検討を通じ,刑事訴訟法の基本的な学識の有無
及び具体的事案における応用力を試すものである。
憲法第39条は,「何人も,……既に無罪とされた行為については,刑事上の責
任を問はれない。又,同一の犯罪について,重ねて刑事上の責任を問はれない。」
とし,これを受けた刑事訴訟法第337条第1号は,「確定判決を経たとき」には,
「判決で免訴の言渡をしなければならない」と定めているところ,本問では,後訴
について,既に確定判決を経たものとみて免訴判決をすべきか,すなわち,確定判
決の一事不再理効の客観的範囲をどのように考えるべきかが問題となる。この点に
ついては,「公訴事実の同一性」(刑事訴訟法第312条第1項)の有無を基準とす
る見解や同時訴追の可能性の有無を基準とする見解など様々な立場があり得るが,
いかなる見解を採るにせよ,一事不再理効の根拠・趣旨に言及した上で,その客観
的範囲に関する判断基準を明らかにする必要がある。
また,前者の見解を採った場合に本問で問題となるのは,公訴事実の狭義の同一
性ではなく,公訴事実の単一性の有無であるから,その旨を明らかにした上で,裁
判所は,前訴・後訴の両訴因に記載された事実のみを基礎として単一性を判断すべ
きなのか,それとも,いずれの訴因の記載内容にもなっていない要素について証拠
により心証形成した上で単一性を判断すべきなのかなど,公訴事実の単一性の判断
方法について,その根拠とともに論じることが求められる。
本問の検討に当たっては,実体的には常習特殊窃盗罪を構成するとみられる窃盗
行為が単純窃盗罪として起訴され,確定判決があった後,確定判決前に犯された余
罪の窃盗行為が単純窃盗罪として起訴された事案に関する最高裁判所の判例(最判
平成15年10月7日刑集57巻9号1002頁)があることから,この判例につ
いての理解も示しつつ,自説の立場から本問の【事例】及び〔設問〕の仮設事例へ
の当てはめを行い,それぞれ免訴判決をすべきか否かの結論を述べる必要がある。
上記判例は,公訴事実の単一性の有無について,基本的には,前訴・後訴の各訴因
の記載のみを基礎としてその比較対照により判断するのが相当であるとしつつも,
訴因自体において一方の罪が他方の罪と実体的に一罪を構成するかどうかにつき検
討すべき契機が存在する場合には,実体に立ち入って付随的に心証形成をし,両訴
因間における公訴事実の単一性の有無を判断すべきであるとしている。この基準に
よる場合には,本問の前訴・後訴の各訴因において,常習性の発露という要素を考
慮すべき契機が存在するかどうかに焦点を当てて,結論を導くこととなろう。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
