令和2年 予備試験 論文式 刑法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑 法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
1 有印私文書偽造罪
- 「偽造」の意義(名義人と作成者の人格の同一性の齟齬)の提示10点
- 本件賃貸借契約書への当てはめ(変更前の氏名の使用実態と契約書の性質)10点
1 偽造私文書行使罪
- 偽造私文書行使罪(161条1項)の成否4点・簡潔に
2 二項詐欺罪
- 「人を欺く行為」の意義(交付・処分の判断の基礎となる重要な事項)10点
- 重要事項性の当てはめ(暴力団員であること・監視目的での使用)14点
- 錯誤・処分行為・財産上の利益の移転と故意8点
3 第1暴行
- 第1暴行の構成要件該当性(傷害致死・因果関係)6点
- 誤想防衛の処理(急迫不正の侵害の誤信と故意阻却)10点
- 過失犯の検討(過失致死罪の成否)5点
3 第2暴行
- 第2暴行の評価(傷害罪の成否と死の結果の不帰責)7点
3 第1・第2暴行の関係
- 第1暴行と第2暴行の一体性・誤想過剰防衛の処理10点
全体
- 罪数処理および論理的構成・文章表現6点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,甲が,⑴本件居室の賃貸借契約締結に際し,その契約書の賃借人欄に変
更後の氏名ではなく変更前の氏名を記入するなどした上,同契約書をBに渡したこ
と,⑵その際,Bに対し,自己が暴力団員であることを告げず,本件居室の使用目
的がA宅の監視目的であることを秘しつつ,Bとの間で同契約を締結し,本件居室
の賃借権を取得したこと,⑶丙の顔面を拳で殴って丙を転倒させ,丙に急性硬膜下
血腫の傷害を負わせ,さらに,丙の腹部を足で蹴って丙に腹部打撲の傷害を負わせ,
丙を同急性硬膜下血腫の傷害により死亡させたことを内容とする事例について,甲
の罪責に関する論述を求めるものである。
⑴については,有印私文書偽造罪・同行使罪の成否が問題になるところ,前者に
ついては,客観的構成要件要素である「偽造」の意義を示した上で,変更前の氏名
は,甲が自営していた人材派遣業や日常生活で専ら使用していたものであることを
踏まえつつ,前記契約書の性質に照らし,名義人と作成者との人格の同一性に齟齬
が生じたといえるのか否かを検討する必要がある。
⑵については,2項詐欺罪の成否が問題になるところ,主に論ずべき点として,
客観的構成要件要素である「人を欺く行為」(欺罔行為)の意義を示した上で,甲
には家賃等必要な費用を支払う意思も資力もあったことを踏まえつつ,甲の属性(暴
力団員であるか否か)や,本件居室の使用目的(暴力団と関係する活動か否か)が,
前記契約締結の判断の基礎となる重要な事項といえるか否かを検討する必要がある。
⑶については,甲は,丙が取り出したスマートフォンをスタンガンと勘違いして,
これで攻撃されると思い込みながら,自己の身を守るため,第1暴行(丙の顔面を
殴る行為)を行っていることから,誤想防衛又は誤想過剰防衛の処理が問題になる
ところ,甲は,丙が意識を失っていることを認識したのに,丙に対する怒りから,
第2暴行(丙の腹部を蹴る行為)を行い,丙に腹部打撲の傷害を負わせているため,
第1暴行と第2暴行の関係を踏まえつつ,その擬律を判断する必要がある。
いずれについても,各構成要件等の正確な知識,基本的理解や,本事例にある事
実を丁寧に拾って的確に分析した上,当てはめを具体的に行う能力が求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
