令和元年 予備試験 論文式 商法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[商 法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 決議事項として予定されていなかった事項についての取締役会決議の適法性10点
- Dが特別利害関係人(369条2項)に当たるか(昭和44年判例との距離感)16点
- Dが特別利害関係人に当たるとした場合の決議成立要件(369条1項)の充足9点
- Dが特別利害関係人に当たらないとした場合の瑕疵ある取締役会決議の効力10点
設問2
- 株主総会決議取消しの訴え(831条1項)という主張の枠組みの設定4点・簡潔に
- 定足数(341条)と遺産分割未了の共有株式100株の扱い17点
- 吸収分割による譲渡制限株式の承継が134条4号の『一般承継』に当たるか17点
- 名義書換の不当拒絶と取消事由(招集手続・決議方法の法令違反)への帰結12点
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,取締役の解任を目的とする株主総会の招集を決定する取締役会決議の効
力(〔設問1〕)及び取締役を解任する株主総会決議の効力(〔設問2〕)を,それぞ
れその効力を否定する立場からの主張とその当否という形で問うものである。
設問1では,Dは,まず,本件取締役会決議が予定されていなかった事項に関す
る決議であった点が違法であると主張することが考えられるが,会社業務に関し臨
機応変に対応すべき取締役会では,決議事項として予定されていなかった事項であ
っても必要に応じ決議することができると解される。次に,Dは,Dを特別利害関
係人(会社法第369条第2項)に当たるとして議決に参加させなかった点が違法
であると主張することが考えられる。代表取締役を解職する取締役会決議について
は,当該決議の対象となる代表取締役は特別利害関係人に当たるとする判例(最判
昭和44年3月28日民集23巻3号645頁)があり,これとの距離感を踏まえ
て検討することが求められる。そして,Dが特別利害関係人に当たるとする場合に
は,本件取締役会決議が成立要件(同条第1項)を満たしているか,当たらないと
する場合には,瑕疵のある取締役会決議の効力が問題となる。
設問2では,Dは,株主総会決議の取消しの訴え(会社法第831条第1項)を
提起するため,取消事由として,まず,Aが保有していた甲社株式100株を定足
数要件の分母に算入すれば定足数(同法第341条)を満たさないため,決議の方
法の法令違反に当たる(同法第831条第1項第1号)と主張することが考えられ
る。当該100株については,遺産分割未了のまま相続人B,C,D及びEの共有
状態にあり,権利行使者の指定・通知がないので,甲社の同意がない限り議決権を
行使することができない(同法第106条)ため,「議決権を行使することができ
る株主の議決権」(定足数要件の分母。同法第341条)には含まれないと文言上
は考えられるが,他方,共有株式は権利行使者の指定・通知があるまで暫定的に議
決権を行使できないだけで,定足数要件の分母には含まれるという解釈があり,こ
のような解釈も踏まえつつ検討することが求められる。次に,Dは,取消事由とし
て,本件会社分割による譲渡制限株式の承継は譲渡承認を要しない「一般承継」(同
法第134条第4号)に該当するから,株主名簿の名義書換の不当拒絶があり,丙
社は名義書換がなくとも自己が株主であることを甲社に対抗できるため,丙社に招
集通知を発しなかった点は招集の手続の法令違反に,丙社の議決権を認めなかった
点は決議の方法の法令違反に,それぞれ当たる(同法第831条第1項第1号)と
主張することが考えられる。会社分割は,合併と同じく組織再編の一形態とされて
いるが,他方,合併と異なり分割会社は依然として存続し,承継される権利義務の
範囲は当事会社の裁量に委ねられており,このような異同も踏まえつつ検討するこ
とが求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和元年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
