令和元年 予備試験 論文式 刑法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑 法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
(1) 有印私文書偽造罪
- 作成権限の有無(代理権限の逸脱)8点
- 名義人の確定と人格の同一性の偽り(代理名義の冒用)8点
(1) 偽造私文書行使罪
- 行使罪の成否4点・簡潔に
(2) 財産犯
- 横領罪と背任罪の関係・検討順序5点・簡潔に
(2) 横領罪
- 「自己の占有する他人の物」(不動産の占有・委託信任関係)13点
- 不法領得の意思2点・簡潔に
- 「横領」行為と既遂時期10点
(2) 背任罪
- 背任罪の成否(横領罪不成立の場合)8点
(3) 殺人
- 第1行為の実行行為性・殺意3点・簡潔に
- 第1行為と死亡結果との因果関係12点
- 因果関係の錯誤の処理7点
(3) 第2行為の擬律
- 死体遺棄の故意と抽象的事実の錯誤・過失致死罪9点
(3) 一連の実行行為構成
- 第1行為と第2行為を1個の行為と捉える構成とその根拠7点
全体
- 罪数処理2点・簡潔に
- 論理的構成・事実の摘示と文章表現2点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,甲が,(1)Vから本件土地に対する抵当権設定の代理権しか付与されて
いなかったのに,Aに本件土地を売る旨の売買契約書2部に「V代理人甲」と署名
した上,その内容をAに確認させるなどしたこと,(2)Vに無断で本件土地の売買
契約をAと締結したこと,(3)(2)に関して,逮捕を免れるなどのために,Vを殺害
してその死体を海中に捨てることを計画し,実際にVの首を絞めたが,それにより
失神したVが死亡したものと軽信し,その状態のVを海に落とし溺死させたことを
内容とする事例について,甲の罪責に関する論述を求めるものである。
(1)については,本件土地の売買契約書の作成権限が与えられていなかった甲に
よる同契約書の作成が代理権限の逸脱に当たることを前提に,有印私文書偽造罪・
同行使罪の成否について,文書の名義人に関する擬律判断を含め,その構成要件該
当性を検討する必要がある。
また,(2)については,主に論ずべき点として,横領罪と背任罪の関係を踏まえ
て,本件土地に関する(横領罪における)占有が甲に認められるか,それが認めら
れるとした場合に甲の行為が「横領」と評価できるか(既遂時期),仮に横領罪の
成立が否定された場合に背任罪の成否を検討すべきかについて,本事例における事
実関係を基に検討する必要がある。
(3)については,行為者が第1行為(Vの首を絞める行為)により死亡結果が発
生すると予見していたのに,実際は結果が発生せず,第2行為(失神したVを海に
落とした行為)により死亡結果が発生した場合(いわゆる遅すぎた構成要件の実現)
の殺人既遂罪の成否に関し,第1行為と死亡結果との因果関係の有無及び因果関係
の錯誤の処理,並びに,第2行為の擬律(抽象的事実の錯誤,過失致死罪の成否)
について,また,第1行為と第2行為を1個の行為(一連の実行行為)と捉えた場
合は,1個の行為と評価する根拠について,それぞれ検討する必要がある。
いずれについても,各構成要件等の正確な知識,基本的理解や,本事例にある事
実を丁寧に拾って的確に分析した上,当てはめを行う能力が求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和元年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
