令和元年 予備試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[刑事訴訟法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問
- 問題の所在の把握(逮捕前置主義下での勾留の適法性と先行手続の違法の関係の設定)8点
- 任意同行と実質的逮捕を区別する基準の定立12点
- 本件同行行為の実質的逮捕該当性のあてはめ14点
- 実質的逮捕の違法性(令状なし・緊急逮捕手続の不履践)6点・簡潔に
- 先行手続の違法が勾留の適法性に影響する根拠12点
- 勾留が違法となる場合の判断基準の定立10点
- あてはめ①:実質的逮捕時点における緊急逮捕の実質的要件の充足12点
- あてはめ②:実質的逮捕時点を起算点とした時間的制限の遵守10点
- あてはめ③:実質的逮捕から通常逮捕までの約5時間の経過と取調べの評価8点
- 勾留の適法性についての結論3点・簡潔に
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,民家で発生した窃盗事件について,翌日の未明に,警察官PとQが,路
上で,人相及び着衣が犯人と酷似する甲を認め,職務質問を開始したところ,甲の
ズボンのポケットからV名義のクレジットカードが路上に落ちたことから,抵抗す
る甲をパトカーに押し込んでH警察署に連れて行き,その後,甲を通常逮捕して,
勾留したとの事例において,甲の勾留の適法性の検討を通じ,刑事訴訟法の基本的
な学識の有無及び具体的事案における応用力を試すものである。
刑事訴訟法上,逮捕と勾留は別個の処分であるが,先行する逮捕手続(さらに,
同行の過程)に違法がある場合,引き続く勾留の適法性に影響を及ぼすことがある
との理解が一般的であり,甲の勾留の適法性を検討するに当たっては,先行手続の
違法が問題となる。もっとも,この点については,勾留の理由や必要(刑事訴訟法
第207条第1項,第60条第1項,第87条)と異なり,明文で要件とされてい
るわけではなく,逮捕手続の違法についても,逮捕後の時間的制限の不遵守がある
場合に勾留請求を却下すべきとする(刑事訴訟法第206条第2項,第207条第
5項)にとどまるため,なぜ先行手続の違法が勾留の適法性に影響を及ぼすのかに
ついて,具体的根拠を示して論ずることが求められる。他方,先行手続の違法が軽
微であっても直ちに勾留が違法となるとすれば,被疑者の逃亡や罪証隠滅を防いだ
状態で捜査を続行することが困難となるのであって,先行手続の違法が勾留の適法
性に影響を及ぼすと考えるとしても,いかなる場合に勾留が違法となるか,その判
断基準を明らかにすることも必要である。
本問では,先行手続として,警察官が甲をパトカーに押し込んでH警察署に連れ
て行った行為について,実質的な逮捕であり違法ではないかが問題となる。ここで
は,任意同行と実質的な逮捕とを区別する基準を示した上で,警察官の行為が実質
的逮捕であるか否かを判断することが求められる。そして,警察官の上記行為が実
質的な逮捕であり違法と評価される場合,その違法が勾留の適法性に影響するのか,
影響するのであれば,勾留が違法となる場合に当たるかについて,判断基準を示し
て検討することが求められる。また,この点について,先行手続の違法の程度(重
大か否か)に着目するのであれば,【事例】において侵害された法益の質・程度や
本来可能であった適法行為からの逸脱の程度(例えば,実質的な逮捕がなされた時
点において緊急逮捕の要件を実質的に満たしていたか,満たしていたとして,その
時点から起算して被疑者が検察官に送致され,また勾留を請求するまでの時間的制
限を超過していないか,また,実質的な逮捕から約5時間後,甲の取調べ等を挟ん
で通常逮捕の手続が取られていることをどう評価するか)などに関わる具体的事情
を考慮した上で,先行手続の違法の程度を吟味し,勾留が違法と評価されるか否か
について論述することが求められる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和元年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
