平成28年 予備試験 論文式 行政法 出題の趣旨・論点・解説
問題
[行政法]
論点の一覧
出題の趣旨をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 問題となる訴訟要件の特定(狭義の訴えの利益・行訴法9条1項括弧書き)8点
- 狭義の訴えの利益に関する一般論(回復すべき法律上の利益の判断枠組み)8点
- 加重規定が法令でなく処分基準に定められている場合の処理(最判平成27年3月3日の理解)14点
- 本件事案への当てはめ(最近3年間という期間限定・訴えの利益の存続)8点
設問2
- 理由提示の趣旨と要求される程度に関する一般論(行手法14条1項本文・最判平成23年6月7日)12点
- 本件処分理由の瑕疵の有無(処分基準の適用関係の不提示)と平成23年判決との事案の異同12点
- 理由提示の瑕疵と取消事由(独立の取消事由性)5点・簡潔に
- 法34条2項の効果裁量の存在と司法審査の枠組み6点
- 処分基準からの逸脱と裁量の逸脱・濫用(行政規則の外部効果・平等原則・信義則)9点
- 本件基準3(2)イの軽減事由該当性の当てはめ(Xに有利・不利な事実の評価)13点
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,公安委員会が,未成年者に酒類を提供した飲食店に対して行った風俗営
業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)に基づく
営業停止処分に関する法的争点について検討させるものである。
設問1は,営業停止期間の経過により狭義の訴えの利益(行政事件訴訟法第9条
第1項括弧書き)が消滅するか否かを問うものである。狭義の訴えの利益に関する
一般論を展開した上で,過去の一定期間内に処分を受けたことを理由として処分を
加重する旨の加重規定が法令ではなく,処分基準に定められている場合において,
処分の直接的効果が営業停止期間の経過によりなくなった後においても,なお当該
処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものといえるかを検討する
ことが求められている。
この論点に関する近時の重要判例として最高裁判所平成27年3月3日第三小法
廷判決・民集69巻2号143頁がある。同判決は,本問と同様に,処分の加重規
定が処分基準に定められている事案であり,行政手続法第12条第1項により定め
られ公にされている処分基準に一種の拘束力を認めて,処分の直接的効果が期間の
経過によりなくなった後においても,なお一定の期間,狭義の訴えの利益が存続す
ることを明らかにしたものである。同判決の正しい理解を前提として,処分基準の
内容及び性質を踏まえた検討を加えていることは加点事由となる。
設問2は,営業停止処分の適法性について問うものであるが,手続的瑕疵と実体
的瑕疵の二つに分けて検討することが求められている。
手続的瑕疵については,不利益処分の理由提示に関する重要判例である最高裁判
所平成23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁を踏まえて,行
政手続法第14条第1項本文に基づき要求される理由提示の程度に関する一般論を
展開した上で,営業停止処分につき処分基準の適用関係が示されていない本件の事
情の下,理由提示の瑕疵が認められるか否かや,理由提示の瑕疵を肯定する場合に
はこれが処分の取消事由となるかを検討することが求められている。上記平成23
年判決の事例との相違について検討を加えていることは加点事由となる。
また,実体的瑕疵については,公安委員会がした営業停止処分が処分基準に即し
ているか否かを検討した上で,処分基準からの逸脱が裁量の逸脱・濫用を導くか否
かについて検討することが求められている。
処分基準は行政規則にすぎないとはいえ,合理的な理由なく処分基準から逸脱す
ることは,信義則や平等原則の観点から処分の違法をもたらすとも考えられる。こ
のような観点から,Xに有利となる事情とXに不利となる事情をそれぞれ踏まえた
上で,処分基準に即して裁量権の逸脱・濫用の有無を検討することが求められてい
る。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「平成28年予備試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
