令和7年 司法試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1(総論)
- 逮捕に伴う無令状捜索・差押えが令状主義の例外として許容される趣旨・実質的根拠と根拠条文の摘示8点
- 時間的範囲(「逮捕する場合」)の解釈と当てはめ4点・簡潔に
設問1 下線部①
- 「逮捕の現場」の場所的範囲の解釈とリビング・和室の関係の当てはめ8点
- 第三者X方の捜索と刑訴法222条1項・102条2項(「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」)8点
設問1 下線部②
- 逮捕の現場に居合わせた第三者Yの身体が無令状捜索の対象となるか8点
- 消極説からの「必要な処分」(222条1項・111条1項)又は積極説からの102条2項の当てはめ6点
設問1 下線部③
- J交番は「逮捕の現場」に当たらないことの確認と平成8年判例を踏まえた法解釈8点
- 下線部③の当てはめ(連行の適否・J交番が「適当な最寄りの場所」といえるか)8点
設問2-1
- 刑訴法328条の趣旨と許容される証拠の範囲(平成18年判例=限定説)10点
- 証拠1への当てはめと理由1の当否の結論6点
設問2-2
- 公判前整理手続の意義・趣旨と刑訴法316条の32の摘示6点
- 「やむを得ない事由」の解釈(規範定立)6点
- 328条に基づく弾劾証拠であることを踏まえた当てはめと理由2の当否8点
全体
- 論理的構成・文章表現6点
出題の趣旨(法務省公表)
〔設問1〕は、渉外事案において日本の裁判所に失踪宣告が申し立てられた場合につき、国
際裁判管轄、準拠法及びその適用範囲についての理解を問うものである。
〔設問1〕の⑴は、失踪宣告事件の国際裁判管轄権を定める通則法第6条に照らして、甲国
籍を有し甲国に住所を有するAについて、日本で失踪宣告の国際裁判管轄権が認められた理由
の説明を求めるものである。同条第1項は、日本国籍を有するか、日本に住所を有する者につ
いて、失踪宣告にかかる原則的管轄を定めるが、本件ではこれらをいずれも満たさないため、
同条第2項の定める例外的な国際裁判管轄権の有無が問題となる。特に同項にいう「不在者の
財産が日本に在るとき」又は「不在者に関する法律関係が日本法によるべきときその他法律関
係の性質、当事者の住所又は国籍その他の事情に照らして日本に関係があるとき」につき事案
に当てはめて裁判所の判断過程を説明することとなる。
続いて〔設問1〕の⑵では、失踪宣告の直接的効果である死亡の擬制の準拠法を問うている
ところ、通則法第6条により日本法(民法第31条)が適用される。
〔設問1〕の⑶は、失踪宣告について通則法第6条第2項に基づき例外的管轄が認められる
場合につき、失踪宣告の効力の及ぶ範囲について問うものである。同項によれば、不在者の日
本所在財産についてのみ、又は不在者の日本に関係がある法律関係についてのみ日本の裁判所
による失踪宣告の効力は発生するとされていることから、問題とされている不動産ア(不在者
の財産であり日本に所在する。)、不動産イ(不在者の財産であるが日本に所在しない。)、不
動産ウ(不在者の財産ではないが、日本に所在している日本人Cを被相続人とする相続の対象
財産であり、日本法によりその相続による承継が判断される。)のそれぞれにつき、日本の失
踪宣告の効力が発生しているかどうかが問題となる(不動産ア・ウにはその効力が及ぶことに
なるが、イについて効力が及ぶことを認めるためには、日本に関係がある法律関係であること
を説得力を持って論ずる必要があろう。)。
〔設問2〕は、渉外事案において失踪宣告がされた後の処理につき、事案を分けてそれぞれ
の場合に国際裁判管轄権、準拠法及び外国失踪宣告の効力承認などの論点についての理解を問
うものである。
〔設問2〕の〔小問1〕は、渉外事案にかかる失踪宣告取消事件の国際裁判管轄権及び準拠
法についての理解を問うものである。失踪宣告事件の国際裁判管轄は上記の通り通則法第6条
に定められているが、〔設問2〕の〔小問1〕の⑴で問うている失踪宣告取消事件の国際裁判
管轄権については、家事事件手続法(以下「家事法」という。)第3条の3に規定が置かれて
いるので、同条の各号に照らして判断すべきところ、本件では日本において失踪宣告があった
ので、日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められる(同条第1号)。
〔設問2〕の〔小問1〕の⑵については、通則法には失踪宣告取消の判断にかかる準拠法を
定める明文の規定がないことから、通則法第6条の類推適用又は同条を踏まえた条理により日
本法によるとすることとなる。
〔設問2〕の〔小問2〕は、外国裁判所による失踪宣告の効力の承認要件及びそれが認めら
れた後の処理についての理解を問うものである。⑴の戸籍管掌者の判断は、家事法第79条の
2が、外国裁判所の家事事件についての確定裁判につき、「その性質に反しない限り」民訴法
第118条の規定を準用するとしていることに基づいている。その上で、民訴法第118条第
2号は、対審手続における被告の手続的保護を図るものであり、裁判所の後見的機能に基づき
利益の対立する相手方のない失踪宣告の裁判については同号の適用はその性質に反するが、民
訴法第118条所定の他の要件はその性質に反しないと考えられたことから、戸籍管掌者は、
同条第2号の要件のみ検討をする必要がないと判断したと説明することができる。
〔設問2〕の〔小問2〕の⑵では、甲国裁判所による失踪宣告の効力が日本で承認されるこ
とを前提に、失踪宣告が婚姻の解消という効果まで当然に生じさせることになるかを問うもの
である。通則法第6条により失踪宣告がされる場合について、その効果は死亡の推定だけであ
り、婚姻や相続への影響については、それぞれの単位法律関係の準拠法によるとするのが一般
的な理解であり、そのことは外国でされた失踪宣告が承認された場合の日本における効果につ
いても当てはまることを説明した上で、婚姻の解消については、婚姻の効力と法性決定するか、
離婚と法性決定するかにより、通則法第25条か第27条のいずれが適用されることになるか
を論ずることが求められる。なお、本問ではいずれに性質決定をしたとしても、同一常居所地
又は日本人条項により日本法が準拠法になると考えられる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和7年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
