令和6年 司法試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 問題の所在の把握(鑑定書=派生証拠/差押手続自体は適法/先行手続の違法の影響)5点
- Pが注射器を発見した行為の性質決定(職務質問に付随する所持品検査=行政警察活動)5点
- 所持品検査の許容性・限界に関する規範(最判昭53・6・20)8点
- Pの所持品検査の適法性のあてはめ10点
- 違法収集証拠排除法則の根拠・要件(最判昭53・9・7)8点
- 派生証拠(鑑定書)の証拠能力に関する判断枠組み7点
- 鑑定書の証拠能力に関する自説と整合したあてはめ(捜査報告書①②の意味)7点
設問2
- 各ビデオ撮影につき強制処分性・任意処分の限界が問題となる理由5点・簡潔に
- 強制処分の意義(昭和51年決定・平成20年決定を踏まえた解釈)8点
- 任意処分としての適法性の限界の判断枠組み6点
- 【捜査①】の適法性のあてはめ12点
- 【捜査②】の適法性のあてはめ14点
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は、渉外性を有する養子縁組及び相続に関する事例を素材として、養子縁組の成立の準
拠法並びに遺言及び相続の準拠法に関する基礎的理解と応用力を問うものである。
〔設問1〕は、養子縁組の成立の準拠法についての理解を問うものである。
〔設問1〕の〔小問1〕は、夫婦共同養子縁組の成立の準拠法の決定及び反致についての基
本的理解を問うものである。養子縁組の成立は通則法第31条第1項の規定により準拠法が決
定され、原則として養親となるべき者の本国法によるが、本問では夫婦共同養子縁組をしよう
としており、養親となるべき夫婦は国籍を異にする。同項はこのような場合の特則を有しない
ため、AC間、BC間それぞれの養子縁組に同項を当てはめて準拠法を定めるのが通説であり、
同項前段により、AC間については日本法、BC間については甲国法が、原則として準拠法と
なることを、まず示さなければならない。
もっとも、甲国法については、甲国からの反致(通則法第41条)の成否が問題となるので、
この点の検討が必要となる。甲国法①の規定を分析して、それがいわゆる管轄権アプローチ(養
子縁組の成立について、国際裁判管轄が自国に認められるかを判断し、認められる場合には直
ちに法廷地法を適用する考え)を採用していると把握し、この規定により適用される甲国法は、
管轄原因である養子の常居所が甲国にあって甲国に国際裁判管轄が認められたときに法廷地法
として適用されるものであることから、養子縁組の成立につき養子の常居所地法を準拠法とす
る双方的抵触規則をこの規定から導き出すことができるか及びそれによって日本法への反致が
認められるかという、隠れた反致が成立するか否かについて、説得的な根拠を示して論じるこ
とが求められている。最後に、反致の成否に関する自説に応じて、甲国法の要件を満たす必要
がない又はあるとの結論を示さなければならない。
次に、AC間、BC間いずれについても、通則法第31条第1項後段により、養子の保護要
件については乙国法も累積的に適用される。反致は成立しないことを指摘した上で、保護要件
については乙国法の要件を満たす必要があるとの結論を示さなければならない。
〔設問1〕の〔小問2〕は、養子縁組の成立の準拠法の適用についての基礎的理解と応用力
を問うものである。
⑴では、BC間について甲国法が準拠法となるが、本件養子縁組を日本において成立させる
に当たり、養子を試験養育した上で、甲国で公認されたソーシャルワーカーによる報告書の提
出という、甲国法②の要件をどのように日本での手続において満たすかを検討することが求め
られている。AC間については日本法が準拠法となっているところ、民法第817条の8の要
件を満たす必要があり、甲国法②の要件はこれと実質的に同等であることを具体的に示して、
同条の要件の履践により満たせばよいなどと論じることが求められている。
⑵では、養子の保護要件については乙国法の要件も満たさなければならないところ、乙国法
③の定める、養親の10歳以上の嫡出子も通則法第31条第1項後段の「第三者」に含まれる
かを検討することが求められている。「第三者」の解釈として、同項後段の文言は第三者を特
に限定していないなどの理由からこのような者も「第三者」に含まれるとの見解と、養子との
間に縁組時点までに身分関係になかった者は「第三者」に含まれないとの見解とに分かれてい
るところ、説得的な論拠を示していずれの立場に立つかを示した上で、本件に当てはめて、本
件養子縁組を成立させることができるか否かについての結論を示すことが求められている。な
お、「第三者」に含まれるとの見解に立つ場合には、本件の事情において養子縁組の成立が認
められないという、乙国法を適用した結果が公序違反にならないかも論じる必要があろう。
〔設問2〕は、遺言及び相続に関する準拠法についての理解を問うものである。
〔設問2〕の〔小問1〕は、遺言の方式の準拠法についての基礎的理解を問うものである。
録画の方法によっていることで遺言が無効となるかという問題は、遺言の方式と性質決定さ
れるので、遺言の方式の準拠法に関する法律により準拠法が決定されること、同法第2条は遺
言の方式につき選択的連結を定めており、同条第1号から第5号までに掲げるいずれかの法の
定める方式に適合するならば遺言は方式に関し有効とされること、本件遺言は同条第1号の行
為地法である丙国法の方式に適合しているため、方式上有効であって無効とはならないことを
示すことが求められている。
〔設問2〕の〔小問2〕は、遺留分の準拠法についての基礎的理解と応用力を問うものであ
る。
遺留分は、被相続人による過度の財産処分に対して遺留分権利者に最低保障額を確保しよう
とする制度であることからすれば、相続の問題と性質決定されようが、本件で遺留分が侵害さ
れているとの主張は、本件預金契約及びその口座への被相続人による送金のためであり、本件
預金契約の準拠法は丙国法であって、丙国法では、共同名義の預金口座の一方の名義人が死亡
した場合には、当該預金口座の預金は、当然に他方の名義人の所有資産となり、死亡した名義
人の遺産には含めないものとされているため、この点をどのように考えるかについて自己の見
解を示すことが求められている。例えば、ここでの問題の本質はそのような財産処分に対して
遺留分権利者の遺留分が侵害されているか否かであることから、遺留分の問題自体はやはり相
続の問題と性質決定されるとの立場が考えられる。この立場によるならば、通則法第36条に
より被相続人の本国法が準拠法となり、反致は成立しないので、甲国法が適用されるとの結論
を示さなければならない。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和6年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
