令和5年 司法試験 論文式 民法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第1問〕(配点:100〔〔設問1〕、〔設問2〕及び〔設問3〕の配点は、30:40:30〕)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1(1)
- Bの請求1・請求2の法的根拠とBの共有持分(民法898条、法定相続分4分の1)の確定4点
- 配偶者短期居住権(民法1037条1項1号)の成立要件の摘示と当てはめ6点
- 平成8年12月17日判決(使用貸借契約の推認)と配偶者短期居住権との関係2点・簡潔に
- 用法遵守義務違反(民法1038条1項)による配偶者短期居住権の消滅請求(同条3項)の成否と共有者単独行使の可否4点
設問1(2)
- Dの共有持分(2分の1)の確定と遺産共有への民法249条以下の適用4点
- 少数持分権者に対する明渡請求(最判昭和41年5月19日)と共有物の管理に関する決定(252条1項後段)5点
- 持分割合を超える使用利益の償還(民法249条2項)と請求23点
設問2(1)
- 買主Fの受領義務の成否(根拠・範囲)と本問への当てはめ8点
- 催告解除(541条)の要件該当性――現実の提供、受領義務の履行遅滞、相当期間を定めた催告、停止条件付解除の意思表示、ただし書7点
設問2(2)
- 損害賠償請求の根拠――415条1項、545条4項、解除に伴う填補賠償(415条2項3号)4点
- 本件コイの代金相当額100万円の損害賠償の当否6点
- 釣堀の営業利益10万円――民法416条2項の特別損害と予見すべき時期7点
- 損益相殺――本件コイの価値の控除とその算定基準時5点
設問3
- 抵当権に基づく賃料債権への物上代位の可否と条文上の根拠(371条と372条・304条1項の関係)6点
- 物上代位権行使の要件としての被担保債権の不履行2点・簡潔に
- 転貸賃料債権に対する物上代位の原則的否定(最決平成12年4月14日)とその理由・自説との整合6点
- 「賃借人を所有者と同視することを相当とする場合」の例外定式と本問の事実の当てはめ8点
- 被担保債権の不履行前に生じた5月分賃料債権への物上代位の可否と自説との論理的一貫性6点
全体
- 論理的一貫性・構成・条文摘示と文章表現7点
出題の趣旨(法務省公表)
1 設問1について
設問1は、建物の所有者の死亡により生じた遺産共有状態の下で、被相続人の子であった
共有者の1人が、被相続人の配偶者であった共有者が建物を無権限で使用しているとして建
物の明渡請求及び金銭の支払請求をした事案を基に、物権及び相続の両分野にまたがる諸制
度の基本的知識と相互関係の理解を問うものである。
⑴ 設問1⑴では、配偶者Dが被相続人Aの生前から建物に無償で居住していたことによる
無償での占有権原の成立を主張した場合の法律関係が問われている。
ア その前提として、本問で問題となっている請求は、建物を共同相続することによって
取得した共有持分権に基づく返還請求権としての建物明渡請求(請求1)と、請求者B
の共有持分権に対応する使用利益をDが不当に利得していることを理由とする不当利得
返還請求、又は共有持分権に対応する使用収益権をDの故意又は過失により侵害された
ことを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求(請求2)であることを確認する必要
がある。
その際、Bは、Aの財産を共同相続しており、遺産分割は未了であるから、Bは甲建
物について共有持分権を有し(民法第898条第1項)、その持分の割合はBの法定相
続分である4分の1であること(民法第898条第2項、第887条第1項、第890
条、第900条第1号、第4号)、も指摘する必要がある。
イ その上で、Dが主張する無償の占有権原の成否につき、その法的構成を明らかにし、
本問での当てはめを展開する必要がある。すなわち、Dは、被相続人の配偶者として、
被相続人の生前から被相続人所有の建物に無償で居住していたことに基づき、配偶者短
期居住権(民法第1037条第1項第1号)の成立を主張しているものと考えられる。
そのため、Dがその法律要件を満たすことを丁寧に論ずることが求められる。
なお、Dの主張は、遺産に属する建物の相続開始後の使用について被相続人と相続人
との間に使用貸借契約が推認される場合に関する判例法理(最判平成8年12月17日
民集50巻10号2778頁)によるものと解することもできなくはない。もっとも、
この判例は平成30年法律第72号により配偶者短期居住権制度が創設される前のもの
であり、現行法制の下では、従前の判例法理と配偶者短期居住権との関係について適切
に論ずることが求められる。
ウ 次に、Dが無断で居住用建物の改築及び店舗開業をしていることから、配偶者短期居
住権の消滅が問題となる。これらの行為は、建物の従前の用法を変動させるものであっ
て、用法遵守の善管注意義務(民法第1038条第1項)に違反し、配偶者短期居住権
の消滅請求事由となり得る(同条第3項)ところ、Bの申入れ(事実3)により消滅請
求の意思表示がされたものと解することができるかについて、事案を分析して法律要件
に適切に当てはめることが求められる。
なお、目的不動産が共有される場合において、配偶者短期居住権の消滅請求を各共有
者が単独でできるかどうかも問題となり、この点について適切に論ずる答案は、高く評
価される。
⑵ 設問1⑵では、Dが、建物の共有持分権を有していることを根拠に、無償での占有権原
があると主張した場合の法律関係が問われている。
ア 請求1については、まず、Dが、Aの配偶者として法定相続分2分の1の割合で共同
相続し、甲建物について2分の1の共有持分権を有していることを確認する必要がある。
そして、相続財産の共有(遺産共有)も民法第249条以下に規定する共有とその性質
を異にするものではなく(最判昭和30年5月31日民集9巻6号793頁)、共有の
規定が適用されるが、各共有者は共有物の全部についてその持分に応じた使用をする権
限を有するため(同条第1項)、Dは甲建物につき正当な占有権原を有する。
そのため、Bの明渡請求は直ちには認められず、明渡しを求める理由があることを主
張立証する必要があること(最判昭和41年5月19日民集20巻5号947頁)につ
いて、判例法理を踏まえて適切に論ずることが求められる。共有者間で誰が共有物を使
用するかを決めるのは共有物の管理に関する事項に当たること(民法第252条第1項
後段)を踏まえ、Bの請求に理由があるかどうかにつき、BがCの同意を得たとしても
なお持分の過半数による決定を得ることができないことを指摘しつつ、事案を分析して
自説を展開する必要がある。
イ 他方で、請求2については、Dが共有者として正当な占有権原を有しているとしても、
その持分は2分の1にすぎないことに着目する必要がある。共有者は、その持分割合を
超えた使用利益を享受することまでは正当化されないため(民法第249条第2項)、
Dが、請求2(Bの持分割合に応じた使用利益相当額の支払請求)を拒むことができな
いとの結論を導くことが求められる。
2 設問2について
設問2は、物品(動物)の売買契約において売主が提供した目的物を買主が受領しない事
案を基に、受領義務の成否、その不履行による契約解除の成否及び契約解除の場合の損害賠
償の具体的内容について問うものである。債権の分野に関する基本的な知識・理解を踏まえ
つつ、受領義務の不履行及び売主側の解除という事案の特殊性に即して論理を展開する能力
が問われている。
⑴ア 設問2⑴では、下線部㋐でのEの主張が、Fに本件コイを受け取る債務(受領義務)
があることを前提に、その不履行による催告解除(民法第541条)を主張するもので
あることから、まず受領義務の成否を検討する必要がある。
債権者が履行を受領しない場合における債務者の不利益については、受領遅滞制度や
供託制度による手当てがあり、通常、債務不履行の効果までは必要とされない。そこで、
判例・通説は、債権者の一般的な受領義務は否定しつつ、一定の場合に限って受領義務
を認める立場をとる(最判昭和40年12月3日民集19巻9号2090頁、最判昭和
46年12月16日民集25巻9号1472頁)。受領義務の成否は特に物の売買契約
について問題となるが、受領義務を認めるべき範囲をめぐっては、この立場の中でも見
解が分かれる。大別すれば、個別の売買契約の事情に着目して、信義則や契約解釈を通
じて個別に受領義務を認める見解(判例もこの見解とみられる。)と、売買契約一般に
つき、契約の趣旨から類型的に買主の受領義務を導く見解とがある。
いずれの見解をとるにせよ、本問では、受領義務が、何を根拠に、どのような範囲で
認められるかについての考え方を示した上で、それを設例に当てはめる必要がある。F
が本件コイを受領しなければ、Eは、その管理のため毎日の世話が必要となり、また、
その保管場所とするため乙池を塞がれて他の用途に利用できなくなることからすれば、
個別の契約の事情に着眼する前者の見解からも、Fの受領義務が認められよう。
なお、債権者が一般的に受領義務を負うとする答案も、判例・通説の見解を踏まえて
自説を論じていれば、同等に評価される。また、結論としてFの受領義務を否定する答
案も、契約①の個別事情についての検討が説得的であれば、同等に評価される。
イ Fに受領義務があるとしても、民法第541条に基づく解除をするためには、受領義
務の不履行がなければならない。受領義務の不履行は、履行の提供がされたにもかかわ
らず、債権者が目的物を受領しない場合に成立する。引渡日におけるEの行為が本件コ
イの引渡債務の現実の提供(民法第493条本文)に当たること、及び、Fがそれを受
領しないことが受領義務の不履行(履行遅滞)となることの指摘が求められる。
さらに、催告と解除の意思表示も要件となる。Eが、相当の期間を定めた催告と同時
に、停止条件付きの解除の意思表示をしていることについて指摘する必要がある。
⑵ア 設問2⑵では、下線部㋑の損害について具体的に検討するに先立ち、Eの損害賠償請
求の根拠を確認しておく必要がある。Eは、受領義務の債務不履行に基づく損害賠償請
求(民法第415条第1項)をしているところ、Fには民法第415条第1項ただし書
の事由がないため、この請求は認められる。Eは契約①を解除しているが、このことは
債務不履行に基づく損害賠償請求を妨げず(民法第545条第4項)、また、Eの債務
不履行は履行遅滞であるが、契約解除に伴い、債務の履行に代わる損害賠償が認められ
る(民法第415条第2項第3号)ことの指摘が求められる。
イ これを前提に、本件コイの代金相当額100万円の損害賠償請求の当否を論ずること
になるが、Fが受領義務を履行しなかったために、契約①の解除によりFの受領義務と
ともにEの代金債権が消滅し、Eは代金相当額の損害を受けている。そのため、消滅し
た受領義務又は代金債権に代わる填補賠償として、代金相当額100万円の損害賠償請
求が認められるとの結論を導くことが求められる。
ウ 次に、釣堀の営業利益10万円の損害賠償請求の当否が問われる。Fが受領義務を履
行しなかったために、Eは釣堀の営業利益を失った。この損害については、民法第41
6条が定める損害賠償の範囲に含まれるかが問題となり、特別損害として同条第2項の
規定が適用されることを、乙池での釣堀営業の計画が特別事情に当たることを明示しつ
つ指摘することが求められる。
同項が要件とする特別事情の予見可能性について、判例は、債務不履行時までに債務
者がその事情を予見すべきであったことと解する(大判大正7年8月27日民録24輯
1658頁、大判昭和15年2月28日新聞4543号7頁)。この解釈を、その合理
性とともに、明確に提示することが必要となる。Fは、Eから釣堀営業の計画を知らさ
れた後も、受領義務の履行遅滞を継続して(Fが前記の計画を知った時以降の不履行を
指摘することが必要である。)、Eの営業利益を失わせたのであるから、営業利益10万
円は損害賠償の範囲に含まれることになる。
なお、民法第416条第2項は「予見すべき」という規範的基準をとっているため、
Eが催告時にFに計画を告げただけではFが計画を「予見すべき」とまではいえないと
いう評価もあり得る。また、同項について、前記の判例の解釈を説明した上で、契約締
結時の予見を基準とする解釈をとって、本問での予見を否定する答案も、同等の評価を
受ける。
エ 最後に、損害賠償の額に関して、損益相殺の検討が求められる。Eは、契約①の解除
により本件コイの引渡債務を免れるから、損益相殺として、賠償額から本件コイの価値
が控除されることを指摘しなければならない。
その上で、本件コイの価値をどの時点の市場価格によって算定すべきかが問題となる。
これについては、市場価格が下落傾向にある中で売主が契約を解除するという事案の特
殊性に即した考察が求められる。Eは、解除までは契約に拘束されるため、解除時点の
下落価格によってしか本件コイを他に売却処分することができない。他方で、解除後は、
本件コイの保管に伴う負担を免れるべく、早期の処分を行うことが期待される。このよ
うに考えれば、解除時点の下落価格70万円を損益相殺の額とすべきことになる。解除
時以降の他の時点を基準とする考え方も、その論拠の説得力に応じて同等に評価される。
3 設問3について
設問3は、抵当権に基づく転貸賃料債権に対する物上代位の可否及び範囲につき、担保物
権の諸規定と判例に関する基本的な知識・理解を踏まえ、事案に即しつつ一貫した論理を展
開する能力を問うものである。
⑴ 転貸賃料債権に対する物上代位について論ずる前提として、Hは、抵当権に基づく賃料
債権に対する物上代位権の行使をすることができるかどうかが問題となる。
ア 抵当権に基づく賃料債権に対する物上代位は可能と解されているが、その根拠につい
ては、主に、㋐実体的根拠を民法第371条の規定に求めた上で、物上代位による差押
えは、民法第372条において準用する同法第304条第1項ただし書の規定によりこ
れをすることができるとする見解(以下「㋐説」という。)と、㋑実体的根拠を民法第
372条において準用する同法第304条第1項の規定に求め、同法第371条の規定
は、担保不動産収益執行の実体的根拠となるとする見解(以下「㋑説」という。)とが
ある。
そして、抵当権の効力が賃料に及ぶ理由について、㋐説からは、抵当権は、被担保債
権について不履行があったときは、天然果実・法定果実を問わず、果実についてその効
力が及ぶことを民法第371条の規定に基づいて説明することが考えられる。これに対
し、㋑説からは、賃料については、付加的物上代位として抵当権の効力が及ぶと説明す
ることが考えられる。いずれにせよ、抵当権の効力が賃料に対して及ぶ理由の検討にお
いて、利害関係人の利益を考量したり、抵当権の本質に遡ったりするものには、高い評
価が与えられる。
イ その上で、抵当権に基づく物上代位権の行使としての差押えは、抵当権の実行方法の
一つであり、抵当権の被担保債権について不履行が生じていることを要件とするため、
Hが有する抵当権の被担保債権であるα債権について不履行が生じていることを指摘す
る必要がある。
⑵ア 以上を前提に、Hの転貸賃料債権に対する抵当権に基づく物上代位権の行使の可否を
論ずることが求められる。その解答に当たっては、最決平成12年4月14日民集54
巻4号1552頁(以下「平成12年決定」という。)を正確に理解した上で、解釈論
として一貫した論述をする必要がある。
平成12年決定は、抵当権に基づく転貸賃料債権に対する物上代位は、原則として認
められないとした。その理由は、(ⅰ)抵当権に基づく物上代位は、物的責任を負担する
者、つまり抵当不動産の所有者が有する債権についてのみ可能であること、(ⅱ)正常な
転貸借をした賃借人=転貸人の利益も考慮しなければならないこと、(ⅲ)(平成15年
法律第134号による改正前の民法第371条の規定の下では、抵当権に基づく転貸賃
料債権に対する物上代位は専ら民法第372条において準用する同法第304条の規定
が根拠となっていたことを前提として)同条第1項の文言に照らして、抵当不動産の賃
借人=転貸人を「債務者」に含めることができないことである。
これを踏まえて、本問でも、抵当権に基づく転貸賃料債権に対する物上代位が原則と
して認められないという定式を示した上で、その理由を論ずる必要があるが、平成15
年法律第134号による改正後の現行民法の下では、㋑説に立つ場合には、平成12年
決定の(ⅲ)を理由として援用することができる一方で、㋐説に立つ場合には、(ⅲ)を援
用すると論理が一貫しないこととなることに留意しなければならない。
イ その上で、平成12年決定が示した、「抵当不動産の賃借人を所有者と同視すること
を相当とする場合」には抵当権に基づく転貸賃料債権に対する物上代位が例外的に認め
られるという定式を示して、事案に即した論述を行うことが求められる。
Lは、Gの弟であり、形式的にも実質的にも同一人であるとはいえないが、抵当権の
行使を妨害する目的や不当な債権回収目的があるといった事情から、Lを所有者と同視
することを相当とする場合に当たるといえるかどうかが問題となる。
抵当権の行使を妨害する目的に焦点を合わせる場合には、①LがGの弟であること、
②賃貸借関係への割込みにより転貸借関係が作出されたこと、③転貸借契約がされた時
期が資金繰りの悪化した後、α債権の弁済期の直前であったこと、④賃貸料の額と転貸
賃料の額との間の差が大きいこと、⑤原賃貸料は、実際には支払われないこととされて
いたことを考慮すれば、転貸借関係の作出は、Hの賃料債権に対する物上代位権の行使
を妨害する目的でされたものといえよう。
債権を回収する目的に焦点を合わせる場合には、債権回収そのものは何ら不当なもの
ではないとしても、抵当権設定登記がされた後、一般債権者であるLが賃料債権から自
己のβ債権を回収するために上記のような形で賃貸借関係に割り込むことは、不当な債
権行使目的でされたものと評価されよう(最判平成10年1月30日民集52巻1号1
頁、最判平成10年3月26日民集52巻2号483頁等を参照)。
いずれにせよ、本問では、抵当不動産の賃借人Lを所有者と同視することを相当とす
る場合に当たり、Hは、転貸賃料債権に対して抵当権に基づく物上代位権の行使をする
ことができるとの結論を導くことが求められる。
⑶ア 5月分の転貸賃料債権は、Hが有する抵当権の被担保債権であるα債権についての債
務不履行の前に生じたものである。そこで、5月分の転貸賃料債権に対しても、抵当権
に基づく物上代位権の行使をすることができるかどうかが問題となる。
抵当権者が抵当権の被担保債権についての不履行前に生じた賃料から物上代位に基づ
いて優先弁済を受けることができるかどうかについては、肯定説と否定説とが対立して
いる。
イ 肯定説からは、①抵当権は、抵当目的物件の換価代金の意味での交換価値のみではな
く、使用・収益価値も抵当権設定時から潜在的に把握しているとされるが、否定説から
は、①´抵当権は、非占有担保であることが強調される。
また、㋐説をとった上で肯定説をとるときは、②民事執行法第188条において準用
する同法第93条第2項の規定は、賃料債権の発生時期を問題としていないとされるの
に対し、㋐説をとった上で否定説をとるときは、②´強制執行としての強制管理の対象
の範囲と担保執行としての担保不動産収益執行の対象の範囲とは異なってしかるべきで
あるため、前記の準用は、根拠とならないとされるとともに、③´民法第371条の「生
じた」という文言からは、否定説が素直な解釈であるとされる。
他方で、㋑説をとった場合において、担保不動産収益執行の対象の範囲と物上代位の
対象の範囲とは同じであるべきであるとの評価を提示するときは、前記の㋐説をとった
上での肯定説の論拠と否定説の論拠とを肯定説・否定説の各立場から援用することがで
きる。さらに、㋑説をとった上で肯定説をとるときは、③抵当権に基づく賃料債権に対
する物上代位は、民法第372条において準用する同法第304条第1項の規定によっ
て認められるため、民法第371条の文言は、妨げとならないとされる。
ウ どの結論をとるにせよ、論理を一貫させることが求められる。例えば、㋐説をとるに
もかかわらず、③の論拠を挙げて肯定説をとったり、㋑説をとるにもかかわらず、単純
に③´の論拠を挙げて否定説をとったりするものは、論理が一貫していないと評価され
る。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和5年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
