令和5年 司法試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 刑訴法221条の「領置」の意義・性質(令状不要の根拠、遺留物・任意提出物という要件)7点
- 【捜査①】の「領置」該当性(大家の占有の存続と保管者からの任意提出)8点
- 領置の限界に関する判断枠組(平成20年4月15日最決:プライバシーの利益と必要性の比較衡量による相当性)8点
- 【捜査①】の必要性・相当性のあてはめ10点
- 【捜査②】の「遺留物」該当性6点・簡潔に
- 【捜査②】の必要性・相当性のあてはめ(DNA型資料の取得と秘匿接触)11点
設問2
- 伝聞証拠の意義と実況見分調書の刑訴法321条3項該当性9点
- 【実況見分調書①】の要証事実の認定9点
- 【実況見分調書①】中の甲の指示説明・写真の扱いと結論7点
- 【実況見分調書②】の要証事実の認定(平成17年9月27日最決)10点
- 【実況見分調書②】の伝聞例外の検討(321条3項+321条1項2号前段、署名押印)9点
全体
- 論理的構成・文章表現6点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は、渉外性を有する身分関係に関する事例を素材として、国際私法及び国際民事手続
法、とりわけ、親子関係の成立の準拠法及び身分関係に関する外国裁判の承認執行に関する
基礎的理解と応用力を問うものである。
〔設問1〕は、非嫡出親子関係の成立の準拠法についての理解を問うものである。
〔設問1〕の〔小問1〕は、認知の方式の準拠法についての基本的理解を問うものである。
認知の成立は通則法第29条の規定により規律されるので、その方式は、通則法第25条か
ら第33条までに規定する親族関係についての法律行為の方式と性質決定されて通則法第3
4条の規定により準拠法が決定されること、同条によると、認知の実質的成立要件の準拠法
(第1項)と行為地法(第2項)が選択的適用され、いずれかの法の方式を満たす場合には、
認知は方式上有効となることを示さなければならない。本件認知は、甲国法(行為地法であ
るが、認知の実質的成立要件の準拠法でもある。後述〔小問2〕参照。)の方式を満たしてい
るため、方式上有効である。
〔設問1〕の〔小問2〕は、血縁の事実に反して行われた認知の無効が認められるかにつ
いて問うことで、認知の実質的成立要件の準拠法、さらには、非嫡出親子関係の成立一般に
ついての準拠法に関する理解を確認するものである。
認知の実質的成立要件については、子の出生の当時における父の本国法又は認知の当時に
おける認知する者の本国法若しくは子の本国法が選択的適用される(通則法第29条第1項
前段、第2項前段。なお、同条第1項後段及び第2項後段にいわゆるセーフガード条項の定
めもあるが、本問ではこれに該当する事実はない。)。本問では日本法と甲国法が選択的適用
されるが、いずれかの法の実質的成立要件を満たせば認知が有効に成立するということであ
るから、逆に、認知が無効となるためには、日本法でも甲国法でも認知が無効となる必要が
あることを示さなければならない。本問では、日本法では認知の無効が認められるであろう
が、認知から提訴まで7年以上経過しているために甲国法の定める出訴期間制限にかかり、
甲国法では認知の無効は認められないため、原則として、認知の無効は認められないという
結論になろう。
これに対して、提出された証拠により、Yの血縁上の父がBであることが証明された場合
には、Xにより認知された子であるYとBの親子関係が成立しているのではないかが問題と
なるので、その点を検討し、その結論を踏まえて、Xによる認知無効の請求が認められない
という上記の結論を再検討することが求められている。YとBの親子関係の成立は、非嫡出
親子関係の成立と性質決定され、通則法第29条第1項により、子の出生当時のBの本国法
である乙国法が準拠法となり、乙国法はいわゆる事実主義を採用しているため、YとBの間
の血縁関係が証明されたときには、YB間の非嫡出親子関係が成立していることを示す必要
があろう。これを前提として、Xによる認知無効の請求が認められないという結論を再検討
することになる。認知の無効が認められないとすれば、Yについて、XY間の親子関係と、
BY間の親子関係のいずれもが成立していることになり、このような状態をそのままにして
よいかが問題となるが、このような事態は、単位法律関係ごとに準拠法を選択して、それを
適用して得られた結論を持ち寄り事案全体の処理を行うという国際私法の基本的構造から生
じたという理解に基づいて、具体的にどのような処理をするべきかについて、自己の見解を
説得的に論じることが求められる。
〔設問2〕は、外国裁判所において、離婚判決の附帯処分としてなされた財産分与を命じ
る裁判の承認執行の要件としての、民事訴訟法第118条第1号のいわゆる間接管轄の判断
についての基礎的理解を問うものである。
まず、間接管轄の有無は、承認国である日本の立場から判断される。
次に、間接管轄がどのような基準で判断されるかについては、直接管轄の基準と同一でな
ければならないとの同一説(いわゆる鏡像理論)と、必ずしも直接管轄の基準と同一でなく
てもよいとの非同一説の対立があるが、いずれを採用するかについて自己の見解を理由付け
して示した上で、事案に当てはめて結論を導くことが求められる。ただ、同一説による場合
のほか、非同一説によるとしても、まずは、日本の直接管轄の基準に準拠して間接管轄の有
無を判断することに変わりはない。そこで、離婚の訴えの際の附帯処分としての財産分与に
ついては、人事訴訟法第3条の4第2項により、家事事件手続法第3条の12に照らして間
接管轄が認められるかを検討することになろう。同条第1号から第3号までに照らすと間接
管轄は認められないことを示した上で、同条第4号により間接管轄が認められないかを検討
すること、あるいは、非同一説に立つ場合には、個々の事案における具体的事情に即して間
接管轄が認められるかを検討することが、本問において間接管轄が認められるか否かの結論
を左右することになろう。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和5年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
