令和3年 司法試験 論文式 刑事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 令状に基づく差押えの要件の提示(令状記載の「差し押さえるべき物」該当性及び被疑事実との関連性)7点
- 被疑事実との関連性が認められる証拠の範囲(最判昭51.11.18を踏まえた自己の見解)7点
- 下線部①(丙組若頭丁の名刺)のあてはめ10点
- 下線部②の問題の所在(関連性は原則として捜索差押えの現場で判断すべきこと、本件ではその判断が困難であったこと)5点
- 電磁的記録媒体を内容確認せずに差し押さえることの可否の判断枠組み(最決平10.5.1)7点
- 下線部②のあてはめ(USBメモリ2本)8点
設問2-1
- 伝聞法則の意義・趣旨と伝聞・非伝聞の区別基準7点
- 本件メモ1の伝聞該当性の検討(内容の真実性を立証しても要証事実の認定上直接の意味を持たないこと)6点
- 本件メモ1について内容の真実性を問題とせずに共謀を推認する推論過程と具体的事実のあてはめ10点
設問2-2
- 本件メモ2の伝聞証拠該当性と適用すべき伝聞例外規定の特定7点
- 321条1項3号の供述不能要件(証言拒絶の場合)の検討とあてはめ8点
- 321条1項3号の不可欠性要件の検討5点
- 321条1項3号の特信情況要件の意義とあてはめ8点
全体
- 論理的構成・文章表現5点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,渉外性を有する交通事故の事案を素材として,財産関係事件の国際裁判管轄権と不
法行為(交通事故及び生産物責任)の準拠法に関する基本的理解と応用力を問うものである。
〔設問1〕の〔小問1〕は,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,被告が外国に住
所を有する場合,すなわち民事訴訟法(以下「民訴法」という。)第3条の2の規定に基づく
国際裁判管轄権が日本の裁判所に認められない場合において,どのような管轄原因があれば日
本の裁判所の国際裁判管轄権が認められるかを問うものである。特に民訴法第3条の3第8号
について論ずることが求められている。
まず,Xの訴えが「不法行為に関する訴え」に該当することを指摘した上で,「不法行為が
あった地」の解釈として,加害行為が行われた地(加害行為地)と加害行為の結果が発生した
地(結果発生地)の双方が含まれることを示すことが求められている。本件事故が丙国内で生
じていることから,加害行為地は,丙国内に所在する。
次に,加害行為の結果について,直接の法益侵害の結果のみを意味すると解すれば,Xが傷
害を負った丙国内においてのみ結果が発生していることになる。この立場からは,民訴法第3
条の3から第3条の7までの規定が定める他の管轄原因が日本国内にない旨の言及を行い,最
終的に,日本の裁判所の国際裁判管轄権が認められないとの結論が導き出されることになろう
(問題文から,民訴法第3条の8の応訴による国際裁判管轄権については論じる必要がない。)。
これに対し,加害行為の結果の発生について,直接の法益侵害の結果の発生だけでなく,損害
の発生も含まれると解する立場からは,本件訴えが,日本の病院で要した入院治療費の賠償請
求であることから,加害行為の結果が日本国内で発生しているとも考えられる。この立場を採
る場合には,さらに日本国内におけるその結果の発生が通常予見することができるものであっ
たか否かについて検討することを要する。通常予見することができるものであったと認定する
場合には,民訴法第3条の3第8号の規定に基づき日本の裁判所が国際裁判管轄権を有するこ
ととなるため,民訴法第3条の9の「特別の事情」の有無についても検討することが必要であ
る。
〔小問2〕は,不法行為(交通事故)の準拠法に関する理解を問うものである。
まず,XのBに対する損害賠償請求が交通事故を理由とするものであるから,「不法行為に
よって生ずる債権」の問題として法律関係の性質決定がされ,法の適用に関する通則法(以下
「通則法」という。)第17条の規定によって準拠法が決定されることを示す必要がある。「加
害行為の結果が発生した地」(結果発生地)については,直接の法益侵害の結果が発生した地
と解するのが通説である。このような解釈を採る理由を示した上で,本件事故の結果発生地は
丙国であるとの認定を行うことになろう。
次に,本件請求については,明らかに丙国よりも密接な関係がある他の地(通則法第20条)
がないかが問題となる。XとBの常居所地やXとBの間の関係その他の事情に照らして,丙国
と比べ明らかにより密接な関係がある他の地があるか否かの認定を行うことが必要である。
なお,外国法が準拠法となる場合には,通則法第22条によって日本法が累積的に適用され
ることにも言及すべきである。
〔設問2〕は,生産物責任の準拠法についての理解を問うものである。
〔小問1〕では,A社が購入した本件自動車の欠陥によって損害を被ったと主張して本件自
動車の製造者であるC社に対して損害賠償請求をしていることから,A社の請求が認められる
か否かは,「生産物責任」(通則法第18条)の問題として法律関係の性質決定がされる。その
上で,A社が甲国内で本件自動車の引渡しを受けたこと(同条本文),甲国内での本件自動車
の引渡しが通常予見することができるものであること(同条ただし書),甲国よりも明らかに
密接な関係がある地の有無(通則法第20条),外国法が準拠法となる場合には日本法の累積
的適用があること(通則法第22条)などについて検討を行うことが求められる。
〔小問2〕では,同じく生産物責任の問題として法律問題の性質決定をした上で,本件自動
車の引渡しを受けた地が甲国内であることを認定し,甲国内における本件自動車の引渡しが通
常予見できるものであるか否かについて論じることが求められている。通則法第18条ただし
書の趣旨にのっとった上で解釈・適用を行い,結論を導くことを要する。甲国内での本件自動
車の引渡しが通常予見できないものであると認定する場合には,生産業者であるC社の主たる
事業所の所在地法である日本法が準拠法となろう。なお,日本よりも明らかに密接な関係があ
る地の有無(通則法第20条)も検討すべきである。
参考答案と AI 採点
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答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和3年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
