令和3年 司法試験 論文式 行政法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕⑴,〔設問1〕⑵,〔設問2〕の配点割合は,35:20:
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1(1)
- 処分性判断の一般的定式の提示(最判昭和39年10月29日)と申請拒否処分という検討枠組みの設定5点
- 本件条例・施行規則の仕組みに即した申請権および法効果の検討12点
- 市道占用許可との関係(中間段階の決定性)と救済手段の比較による実効的権利救済の検討10点
設問1(2)
- 本件不選定決定と本件候補者決定の関係(競願関係・表裏の関係)の分析8点
- 取消判決の効力の追跡(行訴法33条2項の拘束力)と選定可能性の検討9点
設問2
- 本件不選定決定の裁量性の論証と検討対象の特定5点
- ①Bの地位への配慮の必要性(市道占用許可の更新の期待・他人名義営業の評価)11点
- ②-㋐委員会の申合せの合理性(施行規則19条各号の選定基準に照らした検討)10点
- ②-㋑新規応募者の利益を不当に侵害しないか(公表された指針と非公表の申合せ)7点
- ③市長の選定に係る判断内容の瑕疵(考慮不尽・他事考慮)の主張8点
- ④市長が委員会の推薦を覆して選定したこと自体の瑕疵(最判昭和50年5月29日)10点
全体
- 論理的構成・条文の正確な引用・文章表現5点・簡潔に
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,A市の市道上で屋台営業を行うために必要な市道占用許可(道路法第32条第1項
第6号)を自ら取得せず,他人の名義を借りて屋台営業を行ってきた者(以下「他人名義営業
者」という。)であるBが,名義貸し行為の一掃を目指すA市屋台基本条例(以下「本件条例」
という。)の施行後も,従前からの場所(以下「本件区画」という。)で屋台営業を続けるため,
本件条例第25条所定の屋台営業候補者の公募に応募したところ,A市長(以下「市長」とい
う。)が本件区画についてBを屋台営業候補者に選定しない旨の決定(以下「本件不選定決定」
という。)を行う一方で,Cを屋台営業候補者に選定する旨の決定(以下「本件候補者決定」
という。)を行ったという事例における法的問題について論じさせるものである。
〔設問1〕⑴は,本件不選定決定の処分性の有無を問うものである。Bは屋台営業候補者の
公募に応募して本件不選定決定を受けたことから,まずは,本件条例及び本件条例施行規則の
仕組み(屋台営業候補者であることが市道占用許可の要件の一つとなっていること,A市屋台
専門委員会(以下「委員会」という。)は選定基準に則して推薦を行い,それを受けて市長は
選定を行うこと,市長は選定又は不選定の決定の通知を行うこと等)に即して,屋台営業候補
者の選定が申請に対する処分に当たるか,したがって本件不選定決定は申請拒否処分に当たる
かについて検討することが求められる。他方で,Bが最終的に求めているのは市道占用許可で
あるため,本件不選定決定は中間段階の決定にすぎず,処分に当たらないのではないかという
問題もある。そこで,本件不選定決定の処分性の有無については,Bが市道占用許可を申請し
て不許可処分を引き出し,その取消訴訟の中で本件不選定決定の違法性を争うといった訴訟手
段との比較も視野に入れて検討する必要がある。
〔設問1〕⑵は,市長が既にCに対して本件候補者決定を行っていることから,Bが本件不
選定決定の取消しを求める訴えの利益が失われていないかを問うものである。この問題につい
ては,最判昭和43年12月24日民集22巻13号3254頁を参考にして,BとC及び本
件不選定決定と本件候補者決定がいかなる関係にあるかを踏まえ,本件不選定決定の取消判決
の効力によって生じることになる事態を正確に追跡し,Bが屋台営業候補者に選定される可能
性が残っているかを検討することが求められる。
〔設問2〕は,本件不選定決定の取消訴訟において主張すべき違法事由を問うものである。
まず,本件不選定決定の違法事由を検討する前提として,①本件条例の施行の際にBの地位へ
の配慮に欠ける点がなかったか,②委員会の屋台営業候補者の推薦に係る判断に瑕疵はなかっ
たか(より具体的には,屋台営業の実績を考慮して審査を行うという委員会の申合せに不合理
な点はなかったか。)という問題の検討が求められる。
①の問題については,Bが本件区画で10年以上も屋台営業を行ってきたという事実を踏ま
え,市道占用許可は財産権保護の観点から更新が原則であるという解釈が成り立たないか,屋
台営業において他人の名義を借りることは,A市における実害や過去の取扱い,道路法及び本
件条例で定める市道占用許可の要件に照らして,営業の実績が全て法的な保護に値しなくなる
ほど悪質な行為と評価できるかといった検討を行うことが要求される。この①の問題の検討の
結果を踏まえ,市長が本件不選定決定を行う際に自身の公約を重視する一方でBの地位に更な
る配慮を行わなかったことについていかなる違法事由を主張すべきかが論じられるべきことに
なる。
②の問題については,委員会の申合せが本件条例施行規則第19条各号の選定基準に照らし
て是認することができるか,また,新規に屋台営業を始めようとして公募に応募した者の利益
を不当に侵害することにならないかの検討が要求される。前者は,基本的に本件条例施行規則
第19条各号の解釈の問題であるが,後者は,とりわけ,屋台営業候補者選定指針は目にした
ものの本件委員会の申合せを知るすべもなく公募に応募した者の権利保護といった観点からの
検討が期待される。この②の問題の検討の結果を踏まえ,最判昭和50年5月29日民集29
巻5号662頁を参考にして,市長が本件不選定決定を行うことによって「特段の合理的な理
由」がないにもかかわらず委員会の推薦を覆したとの違法事由を主張し得るかが論じられるべ
きことになる。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「令和3年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
