平成25年 司法試験 論文式 行政法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕と〔設問2〕の配点割合は,6:4〕)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 土地区画整理組合の行政主体としての法的性格(法25条1項・40条・41条・103条3項)12点
- C県側の内部行為論の整理と、その論拠となる法の規定(法123条・125条)10点
- 処分性の判断枠組み(公権力性・直接具体的な法的効果)5点・簡潔に
- 本件認可の法的効果の具体的検討(賦課金の仕組みと組合員の法的地位の変動)14点
- 条例制定行為との同視というC県側の主張(法53条)とこれに対する反論13点
設問2
- 経済的基礎その他の能力の欠如(法21条1項4号、39条2項による準用)12点
- 白紙書面議決書の取扱いの違法性(法21条1項2号・38条3項4項)11点
- 賦課金算定方法の公平性(法40条2項)8点
- 算定方法の違法が本件認可の違法をもたらすか(C県側の主張への反論)5点・簡潔に
全体
- 論理的構成・文章表現・条文引用の正確性10点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,賦課金の新設を内容とする土地区画整理組合(以下「組合」という。)の定款変更
の認可(以下「本件認可」という。)に対し,組合員が取消訴訟を提起する事案における法的
問題について論じさせるものである。問題文と資料から基本的な事実関係を把握し,土地区画
整理法(以下「法」という。)の趣旨を読み解いた上で,取消訴訟の訴訟要件及び本案におけ
る違法事由を論じる力を試すものである。
設問1は,本件認可の処分性を検討させる問題である。組合に行政主体としての法的性格が
与えられていることを法の規定から読み取った上で,本件認可が組合員の法的地位に変動を及
ぼすか否かにつき,賦課金の仕組みに即して,丁寧に検討することが求められる。解答に当た
っては,その前提としてC県側の主張を正確に理解しておくことが必要であることから,行政
機関相互の行為で行政組織外部に対する効力を有しないものは処分に当たらないという考え方
(いわゆる内部行為論)にC県側が立脚していることを明らかにすることが求められる。
具体的には,組合につき強制加入制がとられていること(法第25条第1項),賦課金及び
過怠金の賦課徴収及び滞納処分申請の権限が組合に付与されていること(法第40条,第41
条),及び,換地処分の権限が組合に付与されていること(法第103条第3項)を,法の規
定から読み取り,これらが組合の行政主体としての法的性格を示すものであることを説明しな
ければならない。また,C県の立場に立った場合には,例えば,知事の組合に対する監督等に
ついて定める法第123条,第125条は,知事と組合との関係が上級行政機関の下級行政機
関に対する指揮監督関係であることを示すものと解され得ることなどを指摘すべきである。そ
して,内部行為論について説明した上で,本件認可が外部に対する効力を有するか,すなわち
組合員の法的地位に変動を及ぼすかに関して,以下の点を検討することが求められる。
すなわち,費用の分担に関する事項を定款に記載しなければならないとする法第15条第6
号の規定を受けて,本件定款変更において,賦課金の収入を本件事業の費用に充てること,並
びに,賦課金の額及び徴収方法は総会の議決に基づき定めることが規定され,さらにこれを受
けて,賦課金の額の設定方法が「賦課金実施要綱」に定められ,これに従い賦課金の賦課徴収
が行われる。このような賦課金の仕組みに着目すると,一方で,本件定款変更自体は,個々の
組合員に対して具体的な賦課金納付義務を課すものではなく,組合員に個別具体的な権利変動
を生じさせるものではない(成熟性に欠ける)とのC県側の主張が考えられる。他方で,これ
に対する反論として,本件定款変更により組合員は特段の事情がない限り賦課金を徴収される
立場に立たされるから,本件認可は,組合員の法的地位に変動を及ぼすものとして処分性が認
められる等の主張が考えられる。その際,C県側が,市町村が土地区画整理事業を行う場合に
は条例で施行規程を定めることとされていることを指摘し,条例の制定行為が処分に当たらな
いのと同様に本件認可は処分に該当しないと主張しているので,C県の指摘の根拠とされてい
る法第53条を挙げた上で,C県の主張の理論的根拠を分析し,反論を加えることが求められ
る。
設問2は,本件認可の適法性につき,適法とする立場及び違法とする立場の双方から,総合
的に検討させることにより,関係法令の規定及び本件の具体的な事情を説得的に結び付けて法
律論を展開する能力を試すものである。
まず,本件組合が保留地の金額に関する見通しを誤り,資金計画の変更を繰り返した上で賦
課金を新設することについて,「土地区画整理事業を施行するために必要な経済的基礎及びこ
れを的確に施行するために必要なその他の能力が十分でないこと」(法第21条第1項第4号)
という要件の解釈を通じて,適法か否かを論じることが求められる。次に,署名捺印された白
紙の書面議決書に理事Dが自ら議案に賛成の記載を施し,本件臨時総会がこれを議案に賛成の
議決権行使として扱ったことについて,定款変更の「決定手続又は内容が法令(中略)に違反
していること」(法第21条第1項第2号)という要件に結び付けて,書面による議決権行使
を認める法第38条第3項,第4項の趣旨に照らし,適法か否かを論じなければならない。ま
た,賦課金の算定方法について,組合員の約80パーセントが賦課金を免除される等の本件の
具体的事情を踏まえ,法第40条第2項の定める公平の要請を満たすか否かを論じることが求
められる。その上で,賦課金の算定方法の違法性が本件認可の違法性をもたらすわけではない
という主張に対する反論として,例えば,本件定款変更と本件要綱とは同時に議決されており,
本件定款変更の議決において本件要綱の内容が前提とされていたと解され得ることなどを指摘
することが考えられる。
なお,受験者が出題の趣旨を理解して実力を発揮できるように,本年も各設問の配点割合を
明示することとした。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「平成25年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
