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平成27年 司法試験 論文式 民事訴訟法 出題の趣旨・論点・解説

平27司法 民事系科目第3問(民事訴訟法)民事訴訟法

問題

〔第3問〕(配点:100〔〔設問1〕から〔設問3〕までの配点の割合は,4:3:3〕)

次の文章を読んで,後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。 【事 例】 X(注文主)は,Y(請負人)との間で,自宅(一戸建て住宅)をバリアフリーとするため, リフォーム工事を内容とする請負契約を,代金総額600万円,頭金を契約時に300万円支払 い,残代金は工事完了引渡後1か月以内に支払う約定で締結した。 Xは,工事を完了したYから工事箇所の引渡しを受けたが,Yの工事に瑕疵が存すると主張し て,残代金300万円の支払を拒否した。 その後,XY間で交渉したが,解決には至らなかった。 そのため,Xは,Yに対し,瑕疵修補に代わる損害賠償として300万円を請求する訴え(本 訴)を提起した。 これを受けて,Yは,Xに対し,未払の請負残代金である300万円の支払を請求する反訴を 提起した。 以下は,弁論準備手続期日の終了後に,Yの訴訟代理人弁護士L1と司法修習生P1との間で された会話である。 L1:今回の裁判については,争点整理もかなり進行していますが,P1さん,現時点で裁判 所はどんな心証を持っていると感じていますか。 P1:裁判所にどうも瑕疵の存在を認めるような気配があることが気掛かりです。でも,残代 金が未払であることはXも認めていますから,反訴も認容されるので,まあ仕方ないのでは ないでしょうか。 L1:XとYとがそれぞれ債務名義を取得するのは,面倒なことになりませんか。もっと簡便 で有効な対応策はありませんか。 P1:すみませんでした。そう言われれば,本訴請求債権が存在すると判断される場合に備え て,反訴で請求している債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権とする訴訟上の相殺 の抗弁を提出しておくことが考えられます。ただ,既にその債権について反訴が係属してい る以上,相殺の抗弁を提出すると,それに民事訴訟法第142条の法理が妥当するのではな いかという疑いがあります。 L1:そうですね。関係する判例(最高裁判所平成3年12月17日第三小法廷判決・民集 45巻9号1435頁。以下「平成3年判決」という。)の事案と判旨を教えてください。 P1:平成3年判決の事案は,被告が別訴の第一審で一部認容され,現在控訴審で審理されて いる売買代金支払請求権を自働債権として本訴請求債権と対当額において相殺する旨の抗弁 を本訴の控訴審で提出した,というものです。判旨は,次のとおりです。 (判旨) 「係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺 の抗弁を主張することは許されないと解するのが相当である。すなわち,民訴法231条(現 142条)が重複起訴を禁止する理由は,審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決 において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが,相殺の抗弁が 提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有 するとされていること(同法199条2項:現114条2項),相殺の抗弁の場合にも自働 債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれど も理論上も実際上もこれを防止することが困難であること,等の点を考えると,同法231 条の趣旨は,同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず,既に係属中の別訴 において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する 場合にも同様に妥当する(以下省略)。」 L1:本件では,初めから本訴と反訴は併合審理されているのだから,平成3年判決の趣旨は 当てはまらないのではないでしょうか。 P1:平成3年判決の事案では,本訴,別訴とも控訴審で併合審理されており,その段階で相 殺の抗弁が提出されたのですが,平成3年判決は,相殺の抗弁に民事訴訟法第142条の法 理が妥当することは,「右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され,両事件が併合審理された 場合についても同様である。」と判示しています。 L1:そうでしたか。平成3年判決は,弁論が併合されている場合にも当てはまるのですね。 そうすると,反訴請求を維持しつつ同一債権を相殺の抗弁に供したいという我々の希望を実 現するためには,この判例との抵触を避ける必要がありますが,何かヒントとなる判例はあ りませんか。 P1:最高裁判所平成18年4月14日第二小法廷判決・民集60巻4号1497頁(以下「平 成18年判決」という。)は,本訴被告(反訴原告)が反訴請求債権を自働債権として本訴 請求債権と相殺する旨の抗弁を提出したという事案で,そのような場合は訴え変更の手続を 要することなく,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が 示された場合にはその部分については反訴請求としない趣旨の予備的反訴として扱われる以 上,相殺の抗弁と反訴請求とが重なる部分については既判力の矛盾抵触が生じない旨判示し ています。 L1:予備的反訴として扱われると,なぜ既判力の矛盾抵触が生じないことになるのでしょう か。また,平成3年判決は,相殺による簡易,迅速かつ確実な債権回収への期待と,相殺に 供した債権について債務名義を得るという2つの利益を自働債権の債権者である被告が享受 することは許されないとする趣旨だと思いますが,平成18年判決は,その点について,ど のように考えているのでしょうか。 P1:実は,勉強不足で,それらの点がよく理解できないのです。 L1:判例を丸暗記するだけでは,良い法曹にはなれませんよ。では,良い機会ですから,平 成3年判決の趣旨に照らし,本件において反訴請求債権を自働債権として本訴請求債権と相 殺する旨の抗弁を適法と解しても,平成3年判決と抵触しない理由をまとめてください。検 討に当たっては,一旦提起された反訴が予備的反訴として扱われると,第一に,なぜ既判力 の矛盾抵触が生じないことになるのか,第二に,反訴原告は,相殺による簡易,迅速かつ確 実な債権回収への期待と,相殺に供した自働債権について債務名義を得るという2つの利益 を享受することにはならないのはなぜか,を論じてください。さらに,これは平成18年判 決についての疑問ですが,第三に,訴え変更の手続を要せずに予備的反訴として扱われるこ とが処分権主義に反しない理由はどのように説明したらよいか,また,訴え変更の手続を要 せずに予備的反訴とされると反訴請求について本案判決を得られなくなる可能性があります が,それでも反訴被告(本訴原告)の利益を害することにならないのはなぜか,を論じてく ださい。もちろん,第三の点は,我々の立場を積極的に理由付けることには役立ちませんが, 平成18年判決を理解する上で確認しておく必要があります。 〔設問1〕 あなたが司法修習生P1であるとして,L1が指摘した問題点を踏まえつつ,L1から与えら れた課題に答えなさい。 なお,設問の解答に当たっては,遅延損害金及び相殺の要件については,考慮しなくてよい(設 問2及び設問3についても同じ。)。 以下は,第一審判決の言渡し後に,担当裁判官Jと司法修習生P2との間でされた会話である。 J:この前,訴訟記録を見てもらい,意見交換をしたXY間の損害賠償請求訴訟ですが,その 時に述べたように,XのYに対する損害賠償請求権は認められるが,YのXに対する請負代 金請求権も認められるということで,本訴におけるYの相殺の抗弁を認めた上で,受働債権 と自働債権の額が同額だったので本訴請求を棄却するという判決をしました。控訴もなく確 定しましたが,せっかくですから,ここで,控訴審について,少し勉強することにしましょ う。Xが控訴した場合,その控訴について何か問題はありますか。 P2:Xの控訴自体は,自らの請求が棄却されているのですから,不服の利益もあると思うの で,特に問題はないと思います。 J:確かに,Xの控訴自体は問題なさそうですね。それでは,仮に,控訴審が審理の結果,そ もそもXが主張するような瑕疵はなく,Xの本訴請求債権である損害賠償請求権がないとの 心証を得た場合,控訴審はどのような判決をすべきでしょうか。 P2:理由の重要な部分について,原審と控訴審とで判断が異なっているわけですから,控訴 審としては,控訴を棄却するのではなく,第一審判決を取り消して,改めて請求を棄却すべ きではないかと考えます。 J:では,控訴審はどのような判決をすべきかについて,あなたの言う第一審判決取消し・請 求棄却という結論の控訴審判決が確定した場合と,相殺の抗弁を認めて請求を棄却した第一 審判決が控訴棄却によりそのまま確定した場合とを比較して検討してください。 〔設問2〕 あなたが司法修習生P2であるとして,Jから与えられた課題に答えなさい。 なお,Yによる控訴及び附帯控訴の可能性については考えなくてよい。また,Yが控訴又は附 帯控訴をしない場合には,Xの本訴請求債権は控訴審の審判対象とならないとの見解もあるが, ここでは,Xの本訴請求債権の存否が控訴審の審判対象となるとの前提に立って検討しなさい。 以下は,第一審判決の確定後に,Xの訴訟代理人弁護士L2と司法修習生P3との間でされた 会話である。 L2:本件では,いろいろと努力をした結果,Xの損害賠償請求権は認められたのですが,一 方で,Yの相殺の抗弁も認められて,Xの本訴請求は棄却されました。Yも控訴することな く,第一審判決が確定したので,ほっとしていたところでしたが,先ほどXから連絡があり, Yが不当利得の返還を求める文書を送付してきたというのです。 P3:Yの言い分は,どのようなものでしょうか。 L2:Yは,弁護士に相談していないようで,あまり法律的でない内容の文書だったのですが, これを私なりにまとめ直してみました。 (Yの言い分) ① XのYに対する損害賠償請求権は,工事に瑕疵がないので,そもそも存在していなかった。 ② それなのに,裁判所は,XのYに対する損害賠償請求権を認めた。 ③ 請負代金請求権に対立する債権は存在していなかったのだから,相殺の要件を欠いている。 ④ そこで,YとしてはXに対し請負代金の請求をしたいが,それは既判力によって制限されて いる。 ⑤ したがって,Xは,請負代金請求を受けないことによって利益を受けており,一方,Yは, 請負代金を請求できないことにより損失を被っているので,不当利得返還請求をする。 P3:仮に,Yが訴えを提起した場合,我々はどのように対応したらいいのでしょうか。 L2:本訴の判決は確定しているので,Yの主張は,本訴の確定判決の既判力によって認めら れないという反論を考えてみましょう。まず,仮に,YがXに対し請負代金請求訴訟を提起 したとしたらどうでしょうか。 P3:この場合,Yは,本訴で相殺の抗弁として主張した請負代金請求権と同じ権利を主張し ていることになります。そうすると,民事訴訟法第114条第2項により,請負代金請求権 が存在するとの主張が既判力によって遮断されることは,Yの言い分のとおりだと思います。 L2:そうなりそうですね。では,本件はどうですか。 P3:Yは,不当利得返還請求権という請負代金請求権とは別の訴訟物を立てているので,既 判力は作用しないと思います。しかし,本件でYが主張している内容は,本訴で争いになっ た損害賠償請求権は存在しないということを理由としており,明らかにおかしいので,信義 則を使うことができるのではないでしょうか。 L2:いきなり一般条項に頼るのではなく,民事訴訟法第114条第2項の既判力で解決する ことができないかを,よく考えてみるべきではないですか。 P3:すみません。法科大学院の授業で,民事訴訟法第114条第2項の解釈として,相殺の 時点において,受働債権と自働債権の双方が存在し,それらが相殺により消滅した,という 内容の既判力が生じると解する説を聞いたことがあります。この説によれば,同項の既判力 により,Yの主張が遮断されることを容易に説明することができます。 L2:確かに,その説によれば,YがXに不当利得返還請求をしても,相殺の時点で損害賠償 請求権が存在していたことに既判力が生じている以上,利得に法律上の原因がないと主張す ることができない,と言いやすいですね。しかし,債権が消滅した理由についての判断にも 既判力が生じるというのは,既判力の一般的な考え方にそぐわないと言われており,この説 は現在の学説上は支持を失っているので,これに依拠して立論するわけにはいきません。民 事訴訟法第114条第2項をその説のように理解しなくても,同項によりYの請求が認めら れないことを説明できないか検討すべきです。その前提として,今一度,Yの言い分を不当 利得返還請求権の要件に当てはめて整理した上で,それに対する既判力の作用を検討してく ださい。 P3:分かりました。難しいですがやってみます。 〔設問3〕 あなたが司法修習生P3であるとして,L2から与えられた課題について検討した上,Yの請 求が既判力によって認められないことを説明しなさい。

論点の一覧

出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。

設問1

  • 平成3年判決の射程と問題の所在の設定(142条の趣旨の類推、弁論併合でも妥当すること)6点
  • 予備的反訴とされると既判力の矛盾抵触が生じない理由(弁論の分離の可能性と解除条件)12点
  • 二重の利益(相殺の担保的利益と債務名義取得)を享受しない理由10点
  • 訴え変更の手続を要せず予備的反訴とすることが処分権主義に反しない理由6点
  • 反訴被告(本訴原告X)の利益を害しない理由4点・簡潔に

設問2

  • 114条1項・2項により両判決が確定した場合に生ずる既判力の内容の比較14点
  • 不利益変更禁止の原則の意義と本件への当てはめ・結論12点

設問3

  • 不当利得返還請求権の要件とYの言い分の当てはめ・整理8点
  • 114条2項の既判力の内容(基準時における反対債権の不存在)6点
  • 既判力の具体的作用(積極的作用・消極的作用)によるY請求棄却の説明14点

全体

  • 論理的構成・表現(問題文の指示の把握、自らの言葉による論述)8点

出題の趣旨(法務省公表)

本問は,リフォーム工事を内容とする請負契約に係る瑕疵修補に代わる損害賠償請求事件(本
訴)を基本的な題材として,反訴で訴求されている債権を自働債権とする相殺の抗弁を本訴に
おいて提出することの適法性(〔設問1〕),相殺の抗弁を認めた第一審判決に対する控訴と不
利益変更禁止の原則との関係(〔設問2〕),民事訴訟法第114条第2項が規定する既判力の
内容とその具体的な作用の仕方(〔設問3〕)について検討することを求めている。
これらの課題に含まれる論点には基礎的なものが含まれており,それだけに,受験者には,
その基礎的な論点に係る正確な知識をもとにして,問題文に示された事実関係及び関連判例を
踏まえ,結論を導き出す論述を行うことが期待されている。
〔設問1〕は,XがYに対して提起した上記損害賠償請求事件(本訴)でYがXに対して反
訴を提起した場合において,反訴で訴求されている債権を自働債権とする相殺の抗弁を本訴に
おいて提出することの適法性を検討することを求めている。その検討に当たっては,重複起訴
を禁止する民事訴訟法第142条の趣旨は,別訴で訴求されている債権を自働債権とする相殺
の抗弁を本訴において提出する場合にも妥当する,とした判例(最高裁判所平成3年12月1
7日第三小法廷判決・民集45巻9号1435頁。以下「平成3年判決」という。)と,反訴
で訴求されている債権を自働債権とする相殺の抗弁を本訴において提出する場合には重複起訴
の問題は生じない,とした判例(最高裁判所平成18年4月14日第二小法廷判決・民集60
巻4号1497頁。以下「平成18年判決」という。)との相互関係を正しく理解しているこ
とが必要である。
より具体的にいうと,第一に,反訴で訴求されている債権を自働債権とする相殺の抗弁を本
訴において提出すると,訴えの変更の手続を経由せずに,既に提起されていた反訴が予備的反
訴として扱われる,というのが平成18年判決の考え方であるが,平成3年判決は,重複起訴
の禁止を定める民事訴訟法第142条の趣旨を類推する主な根拠を,たとえ本訴と別訴とが併
合審理されていてもなお既判力の矛盾抵触のおそれがあることに求めているところ,平成18
年判決のように考えるとなぜそのおそれが生じないこととなるのかについて説明することが求
められている。第二に,平成3年判決は,相殺の担保的機能という利益と反対債権について債
務名義を取得するという利益とを二重に享受することは許さないとする趣旨と解されるが,平
成18年判決の考え方ではなぜ二重の利益を享受する結果にならないのかについて,説明する
ことが求められている。
〔設問2〕は,XがYに対して提起した上記損害賠償請求事件(本訴)において提出された
相殺の抗弁を認めて本訴請求を棄却した第一審判決に対し,Xのみが控訴した場合において,
控訴審における審理の結果,本訴の訴求債権の不存在が明らかとなったとき,控訴審が第一審
判決を取り消し,上記訴求債権の不存在を理由として改めて請求棄却の判決をすることが許さ
れるかどうかを問うものである。より具体的にいうと,控訴審が第一審判決を取り消し請求棄
却の判決をすることが,控訴したXにとって原判決の不利益変更となるか,なると考える場合
のその理由について,説明を求めるものである。上記第一審判決が確定すると,本訴の訴求債
権の不存在の判断(民事訴訟法第114条第1項)及び反対債権の不存在の判断(同条第2項)
の双方に既判力が生じるが,第一審判決を取り消し,訴求債権の不存在を理由として請求を棄
却した判決が確定すると,反対債権の不存在という,Xに有利に作用する既判力が生じないこ
ととなる。こうした理由から控訴棄却にとどめるべきであるとするのが,判例(最高裁判所昭
和61年9月4日第一小法廷判決・判例時報1215号47頁)の考え方であるが,本問では,
この二つの判決が確定したと仮定した場合に生ずる既判力の内容の相違に注目して,不利益変
更禁止の原則に抵触するかどうかを説明することが求められている。
〔設問3〕は,XがYに対して提起した上記損害賠償請求事件に係る第一審判決(その内容
は,Yの相殺の抗弁が認められ,Xの本訴請求が棄却されたというもの)が確定した後に,新
たに,Yが不当利得の返還を求める文書を送付してきたという事案を題材に,当該第一審判決
の既判力の作用について具体的に説明することを求めるものである。また,本問は,問題文に
おけるL2の発言(問題文5頁19行目から27行目のもの)において具体的に示唆するとお
り,民事訴訟法第114条第2項が規定する既判力の内容は,基準時における反対債権の不存
在の判断であるとの考え方に依拠したとしても,相殺の抗弁が認められて勝訴したYが,訴求
債権は本来存在しなかったから相殺はその効力を生じていないとの理由に基づき,反対債権の
金額に相当する不当利得の返還を請求した場合,その既判力によって棄却することが可能であ
ることを説明することを求めている。より具体的にいうと,不当利得返還請求権の要件,すな
わち利得,損失,両者の因果関係及び利得に法律上の原因がないことのうち,どの要件に関す
る主張がその既判力と抵触するのかを,Yがその言い分において主張する事実関係に則して,
受験者自らの言葉で具体的に説明することが求められている。こうした観点からは,既判力は
訴訟物同一,先決関係又は矛盾関係において作用するところ,不当利得返還請求権の主張は反
対債権の不存在の判断と矛盾関係にあるから,確定した第一審判決の既判力に抵触する,と述
べるにとどまる答案は,本問の題意を的確に捉えたものとは評価し難い。

参考答案と AI 採点

第1 〔設問1〕について 一 平成3年判決の趣旨と本件の問題状況 平成3年判決は、民訴法142条が重複起訴を禁止する趣旨を、①審理の重複による無駄を避けること、②複数の判決において…

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出典:法務省「平成27年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。