平成26年 司法試験 論文式 行政法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕,〔設問2〕,〔設問3〕の配点割合は,5:2.5:2.5〕)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 採石認可の処分要件の特定と法第33条の4による知事の裁量の有無・範囲12点
- 跡地防災保証を認可の許否の考慮に入れることの可否10点
- 本件要綱の法的性質及び効果(行政規則=裁量基準・審査基準)10点
- 裁量基準(本件要綱)の内容的合理性の検討7点
- 本件事案へのあてはめ(一律機械的適用の禁止・個別事情の考慮)と結論7点
設問2
- 法第33条の12第1号(条件違反)・第2号(採取計画違反)の該当性7点
- 法第33条の12第4号「不正の手段により認可を受けたとき」の該当性4点
- 法第33条の13第1項の緊急措置命令(採取停止命令)の可否5点
- 明文の根拠によらない採石認可の撤回の可否と撤回の制限7点
設問3
- 訴訟類型の特定と「一定の処分」要件5点
- Dの原告適格(行訴法第37条の2第3項・第4項、第9条第2項準用)10点
- 「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴法第37条の2第1項・第2項)5点
- 「損害を避けるため他に適当な方法がないとき」(補充性)その他の訴訟要件3点・簡潔に
全体
- 論理的構成・文章表現8点
出題の趣旨(法務省公表)
本問は,Aが,採石法(以下「法」という。)に基づく採取計画の認可申請に当たり,B県
の要綱に従い,岩石採取の跡地で岩石採取に起因する災害が発生することを防止するために必
要な措置に係る保証(以下「跡地防災措置」及び「跡地防災保証」という。)をC組合から受
けたが,認可直後に保証契約を解除した事案における法的問題について論じさせるものである。
論じさせる問題は,要綱どおりの保証を受けずになされた認可申請に対する拒否処分の可能性
(設問1),Aに採石をやめさせる処分の可能性(設問2),及び,当該採取計画に係る採取場
の周辺に森林を所有し林業を営むDによる義務付け訴訟の可能性(設問3)である。問題文と
資料から基本的な事実関係を把握し,法及び法施行規則の趣旨を読み解いた上で,各種処分の
適法性及び義務付け訴訟の訴訟要件を論じる力を試すものである。
設問1では,法及び法施行規則の関係規定,跡地防災保証を定める要綱,及び認可申請拒否
処分の関係を的確に論じなければならない。まず,法第33条の4が採石認可に関して都道府
県知事に裁量をどの範囲で認めているかについて,採石認可に係る法及び法施行規則の規定並
びに採石認可の性質を踏まえて論じることが求められる。法第33条の2第4号・第33条の
3第2項・法施行規則第8条の15第2項第10号は,跡地防災措置につき定めるものの,い
ずれも跡地防災保証については明示していないが,法第33条の4が「公共の福祉に反すると
認めるとき」という抽象的な要件を規定していること,採石業及び跡地防災措置の実態に鑑み
て跡地防災保証の必要性が認められ得るが,その必要性の有無や程度は地域の実情によって異
なり得ることなどに着目して,跡地防災保証を考慮に入れて認可の許否を決する裁量が都道府
県知事に認められないか,検討することが求められる。次に,本件要綱の法的性質及び効果に
ついて,上記の裁量を前提とした裁量基準(行政手続法上の審査基準)に当たると解すること
が可能であり,裁量基準としての合理性が認められれば,必要な書類の添付を求めることも適
法といえないか,検討することが求められる。ただし,法規命令と異なり,裁量基準としての
要綱により申請者に一律に義務を課すことはできないことを踏まえて,岩石採取に当たり跡地
防災保証を求め,さらにC組合という地元の特定の事業者団体を保証人とする要綱の定めがど
の程度合理性を有し,逆にどの程度例外を認める趣旨か,検討しなければならない。以上を前
提として,Aの事業規模や経営状況等の事実関係に即して,C組合による跡地防災保証をAに
対する採石認可の要件とすることの適法性を論じることが求められる。
設問2では,B県知事がAに岩石採取をやめさせるために採り得る処分について,法の関係
規定に照らして多面的に検討しなければならない。まず,法第33条の12第1号・第2号に
関して,跡地防災保証は採取計画に定めるべき事項とはされていないものの,保証を前提とし
て採取計画が認可されているという本件の事実関係に照らし,保証契約の継続が認可の「条件」
に当たり,又は「採取計画」に含まれるといえるか,また,同条第4号に関して,Aが当初か
ら契約を継続する意思なく保証契約を締結し,本件認可の1か月後に保証契約を解除したこと
が,「不正の手段により……認可を受けたとき」に当たるか,そして,法第33条の13第1
項に関して,本件の事実関係の下で「岩石の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要がある」
と認められるかについて,検討することが求められる。さらに,認可要件を事後的に満たさな
くなったことを理由とする認可の撤回が,法に直接明文の規定がなくても可能か,また,可能
であるとしても,本件の事実関係の下で,本件認可の撤回によってAが被る不利益を考慮して
も,なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるかについて,検討することが求
められる。その際,法第33条の12が全体として一定の命令違反等を認可の撤回の要件とし
ていることとの関係も考慮すべきである。
設問3は,非申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法第3条第6項第1号)に関する基本的な
理解を問う問題であり,本件の事実関係の下で,Dの訴えが行政事件訴訟法第37条の2に規
定された「一定の処分」,「重大な損害を生ずるおそれ」,「損害を避けるため他に適当な方法が
ないとき」等の訴訟要件を満たすか否かについて検討することが求められる。特に,Dに原告
適格が認められるか否かについては,法第33条の4が林業の利益を損じると認めるときは認
可をしてはならないと規定していること,Dは本件採取場から10メートル下方に森林を所有
して林業を営んでおり,跡地防災措置が行われなければ土砂災害により所有権及び林業の利益
が損なわれるおそれがあることなどを踏まえて,検討することが求められる。
なお,受験者が出題の趣旨を理解して実力を発揮できるように,本年も各設問の配点割合を
明示することとした。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「平成26年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
