令和2年 予備試験 短答式 刑法 第4問 解説
問題
名誉毀損罪及び侮辱罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①名誉毀損罪及び侮辱罪の保護法益は,いずれも人の外部的名誉であり,法人については,侮辱罪の客体になり得ない。
- ②死者であっても,その外部的名誉を保護すべきことに変わりはないので,死者の名誉を毀損する事実が摘示された場合も,その事実の真偽にかかわらず,名誉毀損罪が成立し得る。
- ③特定かつ少数の者に特定人の名誉を毀損する事実を摘示した場合,その内容が拡散する可能性があったとしても,「公然と」事実を摘示したことにはならない。
- ④風評の形式を用いて人の社会的評価を低下させる事実が摘示された場合,刑法第230条の2にいう「真実であることの証明」の対象となるのは,風評が存在することではなく,そのような風評の内容たる事実が存在することである。正解
- ⑤表現方法が嘲笑的であるとか,適切な調査がないまま他人の文章を転写しているなどといった,事実を摘示する際の表現方法や事実調査の程度は,摘示された事実が刑法第230条の2にいう「公共の利害に関する事実」に当たるか否かを判断する際に考慮すべき要素の一つである。
解説
要点
名誉毀損罪の「公然性」は伝播可能性で判断され、死者の名誉毀損は虚偽事実の摘示に限られる。風評形式による名誉毀損では真実性証明の対象は風評内容たる事実自体であり(最判昭43.1.18)、表現方法・調査の程度は「公共の利害に関する事実」該当性の判断を左右しない(最決昭58.11.1)。
結論
選択肢4が正しい。風評の形式を用いて事実が摘示された場合でも、刑法230条の2にいう「真実であることの証明」の対象は、風評という伝聞形式が存在すること自体ではなく、その風評の内容となっている事実が実際に存在することである(最判昭和43年1月18日)。他の選択肢はいずれも判例・条文の理解と異なる。
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出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
