SaySayLaw無料で演習する

令和2年 予備試験 短答式 刑法 第8問 解説

令2予備 第8問刑法横領・背任罪の過去問

問題

横領の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものを2個選びなさい。 1.甲は,乙からの委託に基づき,同人所有の衣類が入った,施錠されていたスーツケース1個を預かり保管していたところ,衣類を古着屋に売却して自己の遊興費を得ようと考え,勝手に開錠し,中から衣類を取り出した。この場合,遅くとも衣類を取り出した時点で不法領得の意思の発現と認められる外部的行為があったといえるから,甲には,横領罪が成立する。 2.甲は,乙と共に一定の目的で積み立てていた現金を1個の金庫の中に入れて共同保管していたところ,乙に無断でその現金全てを抜き取り,自己の遊興費に費消した。この場合,甲には,横領罪が成立する。 3.株式会社の取締役経理部長甲は,同会社の株式の買い占めに対抗するための工作資金として自ら業務上保管していた会社の現金を第三者に交付した。この場合,甲が,会社の不利益を回避する意図を有していたとしても,当該現金の交付が会社にとって重大な経済的負担を伴うもので,甲が自己の弱みを隠す意図をも有していたなど,専ら会社のためにしたとは認められないときは,甲には,業務上横領罪が成立する。 4.甲は,乙から某日までに製茶を買い付けてほしい旨の依頼を受け,その買付資金として現金を預かっていたところ,その現金を確実に補填するあてがなかったにもかかわらず,後日補填するつもりで自己の遊興費に費消した。この場合,甲がたまたま補填することができ,約定どおりに製茶の買い付けを行ったとしても,甲には,横領罪が成立する。 5.甲は,自己が所有し,その旨登記されている土地を乙に売却し,その代金を受領したにもかかわらず,乙への移転登記が完了する前に,同土地に自己を債務者とし丙を抵当権者とする抵当権を設定し,その登記が完了した。この場合,同抵当権が実行されることなく,後日,その登記が抹消されたとしても,甲には,横領罪が成立する。 ※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
  1. ①1と2正解
  2. ②1と3
  3. ③1と4
  4. ④1と5
  5. ⑤2と3
  6. ⑥2と4
  7. ⑦2と5
  8. ⑧3と4
  9. ⑨3と5
  10. ⑩4と5

解説

要点
封緘・施錠された物を預かった場合、受託者は容器全体については占有を有するが内容物の占有は委託者に残るとするのが判例(区別説)であり、無断で開けて中身を取り出す行為は横領罪ではなく窃盗罪となる。また共同保管(共同占有)中の物を共同保管者の一人が単独で領得する場合も、他の共同占有者の占有を侵害するものとして窃盗罪が成立し、横領罪は成立しない。

結論

誤っている記述は1と2である。施錠されたスーツケースの中身については受託者は占有を有しないとするのが判例の立場であり、無断で開けて取り出す行為は横領罪ではなく窃盗罪となる(記述1)。また、共同保管中の物を共同保管者の一人が無断で領得する行為も、他の共同保管者の占有を侵害するものとして窃盗罪が成立し、横領罪ではない(記述2)。

この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
無料で始める

出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。