平成29年 予備試験 短答式 商法 第22問 解説
問題
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は,事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.営業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているBが,A社の取締役会において,当該運送に係る取引につき重要な事実を開示することも,その承認を受けることもしていない場合には,A社は,当該運送に係る取引によってBが得た利益を自己の利益とみなすことができる。
イ.営業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているBが,A社の取締役会において,当該運送に係る取引につき重要な事実を開示することも,その承認を受けることもしていない場合において,当該運送に係る取引によってA社に損害が生じたときは,Bは,その任務を怠ったものと推定される。
ウ.A社が,その事業計画及び市場調査に基づき,甲県に隣接する乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を開始することを取締役会の決議によって決定し,乙県内においてトラックターミナル用の不動産を取得した後,Bが,営業として乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を行おうとする場合には,A社が乙県内においてトラックによる陸上貨物運送をいまだ開始していないときであっても,Bは,A社の取締役会において,当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けなければならない。
エ.Bが事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって当該運送に係る取引をしようとする場合には,Bは,A社の取締役会において,当該取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けなければならない。
オ.Bが,トラックによる陸上貨物運送を行うことを事業の目的とするD株式会社(以下「D社」という。)を設立し,その発行する全部の株式を保有する場合において,自らはD社の代表取締役でないときは,甲県内における陸上貨物運送に係る取引について継続的に自ら決定してD社の代表取締役に指示しているときであっても,Bは,A社の取締役会において,当該取引につき重要な事実を開示し,その承認を受けることを要しない。
- ①ア イ
- ②ア オ
- ③イ エ
- ④ウ エ正解
- ⑤ウ オ
解説
要点
競業避止義務(356条1項1号)の承認を欠いた場合の効果は「利益額=損害額の推定」(423条2項)にとどまり、任務懈怠自体の推定(423条3項)は利益相反取引に限られる。また「事業の部類に属する取引」は現に営んでいる事業だけでなく、具体的な進出計画のある市場も含み、他社の代表者としての取引や実質的に自ら支配する会社を通じた取引も規制対象になる。
結論
正しい組み合わせはウとエであり、選択肢4が正解である。競業取引の承認を欠いた場合の効果に関するア・イの理解、及び競業規制の及ぶ範囲に関するウ・エ・オの理解がポイントとなる。
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出典:法務省「平成29年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
