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平成29年 予備試験 短答式 刑法 第7問 解説

問題

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
  1. ①甲が乙に対し,深夜の公園で待ち伏せしてAから金品を喝取するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,深夜の公園でAを待ち伏せしたが,偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取した。乙は,人違いに気付き,引き続きAを待ち伏せして,通り掛かったAから金品を喝取しようとしてAを脅迫したが,Aに逃げられてしまい金品を喝取することができなかった。甲にはAに対する恐喝未遂罪の教唆犯のみが成立する。
  2. ②甲が乙に対し,Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,Aをナイフで脅したが,その最中に殺意を抱き,Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ,Aから金品を強取したものの,Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。
  3. ③甲が乙に対し,留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ,乙は,その旨決意したが,B方をA方と誤認してB方に侵入し,その場にいたBから金品を強取した。甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。正解
  4. ④甲が乙に対し,現住建造物であるA家屋に放火するように教唆したところ,乙は,その旨決意し,A家屋に延焼させる目的で,A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火したが,B家屋のみを焼損し,A家屋には燃え移らなかった。甲にはA家屋に対する現住建造物等放火未遂罪の教唆犯のみが成立する。
  5. ⑤甲は,土建業者AがB市発注予定の土木工事を請け負うためB市役所土木係員乙に現金を供与しようと考えていることを知り,乙に対し,Aに工事予定価格を教える見返りとしてAから現金を受け取り,Aに工事予定価格を教えるように教唆したところ,乙は,その旨決意し,Aとの間で,Aに工事予定価格を教える旨約束して,Aから現金100万円を受け取ったが,その後,工事予定価格を教えなかった。甲には加重収賄罪の教唆犯が成立する。

解説

要点
教唆者の責任は、実行者が生じさせた結果全部にではなく、原則として教唆した犯罪事実(構成要件)の範囲に限定される。実行者が客体を取り違えたにとどまる場合は法定的符合説により同一構成要件内で符合して教唆犯が成立するが、実行者が教唆内容より重い犯罪類型に踏み出した場合、教唆者は軽い犯罪の限度でしか責任を負わない。

結論

選択肢3が正しい。窃盗を教唆したのに実行者が対象を誤って別の家に侵入し、そこで居直り強盗に及んだ場合,教唆者には,実際に生じた住居侵入罪については符合するのでその教唆犯が成立するが,強盗という教唆内容を超える犯罪については教唆の効果が及ばず,教唆した窃盗罪の限度で責任を負うにとどまる。

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出典:法務省「平成29年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。