平成27年 予備試験 短答式 民法 第8問 解説
問題
債務不履行による損害賠償に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消費貸借の約定利率が法定利率を超える場合,借主が返済を遅滞したときにおける損害賠償の額は,約定利率により計算される額であり,貸主は,約定利率により計算される額を超える損害が生じていることを立証しても,その賠償を借主に請求することはできない。
イ.家屋の賃借人が賃貸借契約の終了後もその家屋を賃貸人に返還しない場合,賃貸人は,その賃貸借契約で定められた賃料に相当する額の損害賠償を賃借人に請求することができるが,賃貸人がその賃貸借契約の終了後に別の者との間でその家屋の賃貸借契約を締結し,その賃貸借契約で定められた賃料が従前の賃料を上回るときであっても,その新たな賃料に基づく損害賠償を賃借人に請求することはできない。
ウ.営業用店舗の賃貸人が修繕義務の履行を怠ったために賃借人がその店舗で営業をすることができなかった場合,賃借人は,これにより生じた営業利益の喪失による損害の賠償を,債務不履行により通常生ずべき損害として請求することができるが,賃借人が営業をその店舗とは別の場所で再開するなどの損害を回避又は減少させる措置を何ら執らなかったときは,そのような措置を執ることができた時期以降に生じた損害の全ての賠償を請求することはできない。
エ.当事者が債務不履行について損害賠償の額を予定している場合,裁判所は,その損害賠償の予定額を増減することはできず,過失相殺により賠償額を減額することもできない。
オ.当事者が損害賠償の方法について金銭以外の物による旨の合意をしても,その効力は認められない。
- ①ア ウ正解
- ②ア オ
- ③イ エ
- ④イ オ
- ⑤ウ エ
解説
要点
金銭債務の遅延損害金は419条により法定利率(約定利率が法定利率を超えるときは約定利率)で画一的に定まり、実損害の立証があっても超過請求は不可。賠償額の予定(420条。旧規定の増減禁止の文言は平成29年改正で削除)があっても過失相殺(418条)は排除されない。損害を回避・減少させる措置を執り得たのに執らなかった場合、それ以降の損害は416条の賠償範囲から外れ得る。
結論
正しいのはアとウであり,選択肢1が正解である。アは民法419条の趣旨(金銭債務の遅延損害金は法定利率または約定利率で画一的に算定され,それを超える実損害の賠償は認められない)に合致し,ウは損害を回避・減少させる措置を執り得た以降の損害について賠償を否定した判例(最判平成21年1月19日)の考え方に合致する。
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出典:法務省「平成27年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
