平成27年 予備試験 短答式 民法 第10問 解説
問題
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AのBに対する甲債権が差し押さえられた後,BがAに対する乙債権を取得した場合,Bは,乙債権を自働債権として甲債権と相殺することができる。
イ.賃貸人が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除した後,賃借人が解除後に存在を知った賃貸人に対する債権と賃料債務を相殺により消滅させたとしても,賃貸借契約の解除の効力には影響がない。
ウ.継続的契約の当事者が,その契約が終了したときに債権債務が残っていた場合は相殺することをあらかじめ合意していたとしても,その合意は無効である。
エ.債権が不法行為によって生じたときは,その債権者は,その債権を自働債権として相殺することができる。
オ.注文者は,請負人に対する目的物の瑕疵の修補に代わる損害賠償債権を自働債権として,請負人の注文者に対する報酬債権と相殺することはできない。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③イ エ正解
- ④ウ オ
- ⑤エ オ
解説
要点
相殺は『受働債権側の制限』か『自働債権側の制限』かを区別することが重要。509条は不法行為債権を受働債権とする相殺を禁じるだけで、不法行為債権者が自働債権として使うのは自由。差押えと相殺(511条)は、反対債権の取得が差押えの前か後かが原則的な分水嶺であり、差押え後取得の場合は差押え前の原因に基づくか(511条2項)が問題となる。
結論
正しいのはイとエであり、選択肢3が正解である。イは賃料不払解除後に賃借人が相殺しても解除の効力に影響しないという判例法理(最判昭和32年3月8日)、エは不法行為債権者自身がその債権を自働債権として相殺できるという509条の趣旨(禁止されるのは受働債権とする場合)に合致する。
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出典:法務省「平成27年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
