平成27年 予備試験 短答式 刑事訴訟法 第20問オ 解説
問題
次の【事例】中の実況見分調書につき,その証拠調べ請求に関して述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。【事 例】司法警察員Kは,現住建造物に対する放火事件の捜査として,焼損した建造物につき,その所有者Vを立会人とする見分を行い,実況見分調書を作成した(実況見分調書には,Vの署名・押印のいずれもない。)。Vが実況見分の際に建造物の特定の箇所を指し示しながら,Kに対し「ここにAが火を付けるのを見た。」旨説明したので,Kは,その箇所を写真撮影した後,同写真を実況見分調書に添付するとともに,Vの前記説明内容を実況見分調書に記載した。その後,Aが同事件の犯人として起訴された。検察官は,当該被告事件の公判前整理手続において,「建造物の焼損状況」を立証趣旨として実況見分調書の証拠調べを請求した。弁護人は,「Aは犯人ではなく,本件火災はVによる失火が原因である。」旨主張した上,実況見分調書について不同意の意見を述べた。【記 述】
オ.裁判所は,実況見分調書が真正に作成されたものであることが認められても,実況見分調書におけるVの前記説明内容が記載された部分を,Aが犯人であることを証明する証拠として用いることはできない。
- ①正しい正解
- ②誤っている
解説
要点
実況見分調書に記載された立会人の説明は、見分すべき場所・対象を示す「現場指示」にとどまれば調書の一部として321条3項で足りるが、犯人性など犯罪事実の内容に及ぶ「現場供述」は独立の供述証拠として別に伝聞法則の適用を受ける。しかも本件ではVの署名・押印がないため、321条1項により証拠能力を取得する余地もない。
結論
選択肢1が正しい。実況見分調書自体は作成者の真正作成証言(刑訴法321条3項)により証拠能力が認められ得るが、その中に記載されたVの「ここにAが火を付けるのを見た」という発言は、単なる見分場所の指示にとどまらず犯人性に関する供述内容を含む「現場供述」であるから、調書の真正性が認められても、それとは別に伝聞法則の適用を受ける。しかも本件実況見分調書にはVの署名・押印がないため、後述のとおり321条1項各号による伝聞例外の余地もなく、Aが犯人であることの証拠として用いることはできない。
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出典:法務省「平成27年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
