平成27年 予備試験 短答式 刑法 第2問 解説
問題
名誉毀損罪(刑法第230条)と侮辱罪(刑法第231条)の保護法益に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【見 解】A説:名誉毀損罪と侮辱罪の保護法益は,いずれも人の外部的名誉(社会的評価,社会的名誉)であり,名誉毀損罪と侮辱罪の違いは,事実の摘示の有無である。B説:名誉毀損罪の保護法益は人の外部的名誉(社会的評価,社会的名誉)であり,侮辱罪の保護法益は人の主観的名誉(名誉感情)である。【記 述】
ア.A説によれば,刑法第231条で侮辱が被害者の面前において行われることを要件としていないのは,公然たる侮辱の言葉はやがて本人に伝わるので面前性は不要だからであると考えられる。
イ.A説に対しては,刑法第231条の「事実を摘示しなくても」との文言は文字どおりに解すべきであって「事実を摘示しないで」という意味にはならないはずであるとの批判がある。
ウ.B説によれば,刑法第231条で公然性が要件とされているのは,侮辱行為が公然となされるかどうかでその当罰性に差異が生ずるからであると考えられる。
エ.B説に対しては,幼児・重度の精神障害者・法人に対する侮辱罪が成立しないのは妥当でないとの批判がある。
オ.B説に対しては,名誉毀損罪と侮辱罪の法定刑の差を説明できないという批判がある。
- ①ア イ ウ
- ②ア イ エ
- ③イ ウ エ正解
- ④イ エ オ
- ⑤ウ エ オ
解説
要点
名誉毀損罪・侮辱罪の保護法益をめぐるA説(いずれも外部的名誉。区別は事実摘示の有無)・B説(侮辱罪は名誉感情)は、条文の文言(「事実を摘示しなくても」「公然と」)や、面前性不要・幼児や法人への適用可否・法定刑の差といった具体的帰結からどちらが整合的かを検証する形で出題される。各説の帰結を条文要件に当てはめて説明できるかが鍵。
結論
正しい記述はイ・ウ・エであり、選択肢3が正解である。アは、面前性が不要であることを名誉感情説(B説)の側から説明する際に用いられる理由付けをA説に誤って結び付けたものであり、オは、法定刑の差はB説からは保護法益の相違によってかえって容易に説明できるため、B説への批判として成立しない。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「平成27年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
