平成24年 予備試験 短答式 商法 第30問 解説
問題
外形上通常の譲渡裏書であるが,取立委任の目的をもってされたいわゆる隠れた取立委任裏書について,手形上の権利は,通常の譲渡裏書におけると同様,裏書人から被裏書人に移転するとする説がある。次のアからオまでの各記述のうち,この説を採った場合の結論となり得ないものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.被裏書人が取立委任の目的につき善意の第三者に手形を裏書譲渡したときは,その第三者は,善意取得の規定によって保護される。
イ.被裏書人は,裏書人に対し,担保責任を追及することはできない。
ウ.取立委任の合意が解除されると,被裏書人の取立権限は消滅する。
エ.手形債務者は,被裏書人に対する人的抗弁を対抗することができない。
オ.被裏書人が破産した場合,裏書人は取戻権を有する。
- ①ア イ
- ②ア エ正解
- ③イ オ
- ④ウ エ
- ⑤ウ オ
解説
要点
隠れた取立委任裏書につき権利移転説を採ると、被裏書人は手形上の権利者となる。そのため、被裏書人からの譲受人は正当な権利者からの承継取得であって善意取得の出番がなく(ア)、また債務者は権利者たる被裏書人自身に対する人的抗弁を当然に対抗できる(エ)。ア・エはいずれも被裏書人を権利者とみない資格授与説からこそ導かれる結論である。これに対しイ・ウ・オは、取立委任という内部の債権的合意の効果として権利移転説とも両立しうる。
結論
選択肢2(ア・エ)が正解である。権利移転説は「手形上の権利が裏書人から被裏書人へ移転する」と構成するから、被裏書人は実質的にも手形上の権利者として扱われる。そうすると、被裏書人からの譲受人を善意取得で保護する必要はなく(ア)、債務者は権利者たる被裏書人自身に対する人的抗弁を当然に対抗できる(エ)。ア・エはむしろ資格授与説(被裏書人は取立権限を取得するにとどまるとする説)から導かれる結論であり、権利移転説の結論とはなり得ない。これに対し、イ・ウ・オは委任契約という内部関係の効果として、権利移転説と矛盾なく説明できる。
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出典:法務省「平成24年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
