平成23年 予備試験 短答式 民法 第9問 解説
問題
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消滅時効期間の経過した債権が,その期間経過以前に債務者の有する反対債権と相殺適状にあった場合には,消滅時効期間の経過した債権を有する債権者は,債務者による消滅時効の援用の前後を問わず,相殺をすることができる。
イ.債務者が受働債権の譲受人に対し相殺をもって対抗することができる場合には,その相殺の意思表示は,受働債権の譲渡人にすれば足りる。
ウ.不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし,不法行為に基づく損害賠償債権以外の債権を受働債権とする相殺は,許される。
エ.請負人の注文者に対する請負代金債権と,注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は,同時履行の関係にあるため,注文者及び請負人は,原則として共に相殺することができないが,双方の債権額が等しい場合には例外として相殺をすることができる。
オ.有価証券に表章された金銭債権の債務者は,その債権者に対して有する弁済期にある自己の金銭債権を自働債権とし,有価証券に表章された金銭債権を受働債権として相殺する場合であっても,有価証券の占有を取得する必要はない。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③イ エ正解
- ④ウ オ
- ⑤エ オ
解説
要点
相殺の意思表示は『現在の債権者』(債権譲渡後は譲受人)に対して行う必要がある。自働債権に同時履行の抗弁権が付着する場合は原則として相殺できないが、請負報酬債権と瑕疵修補に代わる損害賠償請求権については判例上相殺が認められ、債権額が等しいことは要件ではない。
結論
誤っているのはイとエであり,選択肢3が正解である。イは相殺の意思表示の相手方を誤り,エは同時履行の抗弁権が付着した債権による相殺の可否に関する判例の内容を誤って記述している。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「平成23年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
