平成23年 予備試験 短答式 刑法 第9問 解説
問題
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①甲は,昼間の電車内において,多数の乗客が見ている状態で,恋人の乙が着ていたコートの前を広げさせてその陰部を露出させた場面を写真撮影した。同写真撮影について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,公然わいせつ罪の違法性が阻却され,甲には同罪の共同正犯は成立しない。
- ②甲は,重病で苦しんでいる妻乙に同情して,同人の首を絞めて窒息死させた。乙の殺害について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,いずれの構成要件にも該当せず,犯罪は成立しない。
- ③甲は,乙が保険金をだまし取るのに協力する目的で,乙の右手の親指を包丁で切断した。親指の切断について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,傷害罪の構成要件に該当せず,同罪は成立しない。
- ④甲は,11歳の乙の陰部を指で弄ぶなどのわいせつな行為を行った。わいせつな行為をすることについて乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,強制わいせつ罪の構成要件に該当せず,同罪は成立しない。
- ⑤甲は,妊娠している妻乙と話し合った上,薬物を使用して堕胎させた。堕胎について乙があらかじめ甲に対して承諾していた場合,甲の行為は,不同意堕胎罪の構成要件に該当せず,同罪は成立しない。正解
解説
要点
被害者の承諾が犯罪の成否に与える影響は、①保護法益が個人的法益か社会的法益か、②条文が承諾の不存在を構成要件要素として明文で規定しているか(不同意堕胎罪)、③承諾があっても別の構成要件が成立しないか(同意殺人罪・同意堕胎罪)、④承諾の有無を問わず処罰する年少者保護規定が適用されないか、という順で検討する。
結論
正しいのは選択肢5である。不同意堕胎罪(刑法215条)は「女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた」ことを構成要件要素としているため、乙の承諾がある本問では同罪の構成要件該当性自体が欠ける(もっとも同意堕胎罪(213条)が問題となる)。他の選択肢は、承諾があっても別の構成要件に該当する、あるいは承諾によっても違法性・構成要件該当性が失われないという判例・条文の理解を誤っている。
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出典:法務省「平成23年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
