平成23年 予備試験 短答式 刑法 第8問 解説
問題
公務執行妨害罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。
1.甲は,警察官乙から職務質問を受けた際,乙に対して暴行を加えて傷害を負わせた。甲に乙に対する公務執行妨害罪が成立する場合,同罪と傷害罪は観念的競合となる。
2.甲は,飲食店Aで無銭飲食した後,A店店員の通報を受けて同店に臨場した制服の警察官乙の姿を認めるや,乙から事情聴取を受ける前に,その場から逃走する目的で乙を1回殴り,乙がひるんだ隙に同店から逃げた。甲には公務執行妨害罪は成立しない。
3.甲は,パトロールカーに乗って警ら中の警察官乙を認めるや,以前乙によって逮捕されたことを恨んでいたので,乙の乗っていたパトロールカーに石を投げ付けて同車のフロントガラスに命中させ,同ガラスにひび割れを生じさせた。甲には,器物損壊罪が成立するが,公務執行妨害罪は成立しない。
4.甲は,窃盗を行って制服の警察官乙に追跡されている途中で,乙に暴行を加えて傷害を負わせた。甲に乙に対する事後強盗致傷罪が成立する場合,公務執行妨害罪は,事後強盗致傷罪に吸収される。
5.甲は,警察官乙により,逮捕状を示されて逮捕されそうになった際,逮捕を免れるため,乙に暴行を加えて抵抗したものの,結局,その場で,前記逮捕状により逮捕された。甲には公務執行妨害罪が成立する。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5正解
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
公務執行妨害罪は職務執行中の暴行・脅迫で既遂となり結果の成否は問わない。また同一の暴行から複数の罪が成立する場合、原則として観念的競合であり、安易に「吸収される」と考えてはいけない。
結論
正しいのは記述1と記述5であり、選択肢4が正解である。記述1は公務執行妨害罪と傷害罪が同一の暴行から生じる以上観念的競合となるという判例の立場どおりであり、記述5は職務執行中の暴行・脅迫があれば結果として逮捕が成功したか否かにかかわらず公務執行妨害罪が既遂で成立するという原則どおりである。
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出典:法務省「平成23年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
