平成26年 司法試験 短答式 民法 第17問 解説
問題
詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.共同相続人間で成立した遺産分割協議は,詐害行為取消権の対象とならない。
イ.詐害行為取消権が成立するためには,債務者が債権者を害することを意図して法律行為をする必要がある。
ウ.債務超過の状態にある者が離婚に伴う財産分与として配偶者に金銭の給付をする旨の合意は,その額が財産分与として不相当に過大で,財産分与に仮託された財産処分と認められる事情がある場合,不相当に過大な部分について,その限度において詐害行為として取り消すことができる。
エ.抵当権が設定されている一個の建物を,その抵当権者に代物弁済として供した債務者の行為が詐害行為となる場合,他の一般債権者は,当該建物の価額から当該抵当権の被担保債権額を控除した残額の範囲で取り消すことができ,その限度において価額の賠償を請求することが許されるにとどまり,当該建物自体を債務者の一般財産として回復することはできない。
オ.詐害行為取消権は,訴訟において行使しなければならないが,訴えによる必要はなく,抗弁によって行使することもできる。
- ①ア イ
- ②ア オ
- ③イ エ
- ④ウ エ正解
- ⑤ウ オ
解説
要点
詐害行為取消権の要件は『害することの認識(知って)』で足り積極的な加害意図までは不要であること、遺産分割協議・財産分与も原則対象となりうるが財産分与は不相当に過大な部分に限られること、抵当権付き不動産の代物弁済は価額から被担保債権額を控除した残額の限度で価額賠償にとどまり現物回復はできないこと(最判昭54.1.25)、取消権行使には訴えが必要で抗弁では足りないこと(最判昭39.6.12)を押さえる。
結論
正しいのはウとエであり、選択肢4が正解である。財産分与について不相当に過大な部分は詐害行為として取り消せるとする判例(ウ)と、抵当権付き建物の代物弁済が詐害行為となる場合は価額から被担保債権額を控除した残額の限度で価額賠償にとどまり現物回復はできないとする判例(エ)が、いずれも確立した判例法理と合致する。
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出典:法務省「平成26年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
