平成25年 司法試験 短答式 民事訴訟法 第70問 解説
問題
確定判決の既判力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。
1.貸金返還請求訴訟において,被告がその債務につき消滅時効が完成していたのに援用の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し,請求認容判決が確定した場合であっても,被告は,その後にした時効の援用の効果を請求異議の事由として主張することができる。
2.貸金返還請求訴訟において,被告が原告に対する反対債権を有し相殺適状にあったのに相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し,請求認容判決が確定した場合であっても,被告は,その後にした相殺の意思表示の効果を請求異議の事由として主張することができる。
3.売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認訴訟において,売主である被告が詐欺を理由として当該売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し,請求認容判決が確定した場合であっても,被告は,自己の所有権の確認を求める後訴において当該売買契約の取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができる。
4.土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において,賃借人である被告が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し,請求認容判決が確定した場合であっても,被告は,その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる。
5.将来の賃料相当額の損害金請求を認容する判決が確定した場合であっても,その後,土地価格の昂騰等の事情によって当該判決の認容額が不相当となったときは,原告は,後訴により,当該認容額と適正賃料額との差額に相当する損害金の支払を求めることができる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3正解
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
既判力の遮断効は、基準時前に主張し得た攻撃防御方法一般に及び、時効の援用権・取消権のように既存の権利関係の帰すうを確定するだけの形成権は遮断される。これに対し、相殺権・建物買取請求権のように訴訟物とは別個独立の財産的利益を目的とする形成権は、基準時後に行使してもその効果を請求異議事由として主張できるとするのが判例である。
結論
誤っているのは選択肢2「1と3」の組合せ、すなわち記述1(時効の援用)と記述3(詐欺取消し)である。判例は、基準時前に完成・発生していた時効や取消原因については、基準時後に援用・取消しをしてもその効果を後訴(請求異議訴訟や後訴)で主張することはできない(遮断される)としているのに対し、記述2(相殺)と記述4(建物買取請求権)、記述5(将来の損害金判決確定後の差額請求)は判例の趣旨に合致する正しい記述である。
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出典:法務省「平成25年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
