平成25年 司法試験 短答式 民法 第9問 解説
問題
所有権の取得又は移転に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。
1.A所有の不動産を占有するBが自己の占有に前の占有者Cの占有を併せて主張することによってその不動産の所有権を時効により取得したときは,Aは,Cの占有の開始日にさかのぼってその所有権を喪失する。
2.売主が他人の不動産を売り渡した後にその所有権を取得したときは,買主は,売主がその不動産の所有権を取得した後これを買主に移転する意思を表示した時に,その不動産の所有権を取得する。
3.詐害行為取消権に基づき不動産の贈与契約を取り消す旨の判決が確定したときは,贈与契約による所有権移転の効果は,贈与契約締結時にさかのぼって消滅する。
4.不動産の譲渡をもって代物弁済契約がされた場合,所有権移転登記をするまでは,その不動産の所有権が債権者に移転することはない。
5.相続財産のうち,特定の不動産を特定の相続人に相続させる旨の遺言があった場合,その遺言で相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り,何らの行為を要せずして,その不動産の所有権は,被相続人の死亡の時に直ちに相続により当該相続人に承継される。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5正解
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
取得時効の効力は民法144条により起算日に遡るため、占有承継を主張した場合は前主の占有開始時に遡って旧所有者は権利を失う。他人物売買(売主の所有権取得と同時に当然移転)、詐害行為取消(旧法判例は相対的効力。現行425条は債務者及び全債権者にも効力が及ぶ)、代物弁済(所有権移転の効果は契約の意思表示時、債務消滅の効果は登記等の給付完了時)、相続させる旨の遺言(遺産分割方法の指定として死亡時に直ちに承継)の各法律構成を正確に区別する。
結論
正しいのは記述1と5であり、選択肢4が正解である。占有の承継主張による時効取得の効果は民法144条により起算日(前主の占有開始時)に遡り、また「相続させる」旨の遺言は特段の事情がない限り遺産分割方法の指定として被相続人死亡時に直ちに当該相続人に承継されるとするのが判例の立場だからである。
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出典:法務省「平成25年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
