平成24年 司法試験 短答式 刑法 第14問 解説
問題
住居侵入罪又は建造物侵入罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア.甲は,父親乙と居住していた実家から長期間家出していたが,強盗の目的で,共犯者丙と一緒に,深夜,乙方内に入った。丙には住居侵入罪が成立するが,甲には住居侵入罪は成立しない。
イ.甲は,乙が現に住んでいるアパートの居室内にのぞき目的で入ったが,同居室は乙の家賃の滞納により既に賃貸借契約が解除されていた。甲には住居侵入罪が成立する。
ウ.甲は,門塀が設けられるとともに,看守者が置かれ出入りが制限されている工場の敷地内に窃盗の目的で立ち入ったが,工場の建物に入る前に逮捕された。甲には建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。
エ.甲は,強盗の目的で乙方に行き,その意図を隠した上,玄関前で「こんばんは。」と挨拶したところ,乙が「お入り。」と答えたので乙方内に入った。甲には住居侵入罪は成立しない。
オ.甲は,交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見るため,外部からの立入りが制限され,内部をのぞき見ることができない構造になっている警察署の高さ約3メートル,幅30センチメートルのコンクリート塀の上に登り,その上部に立って中庭を見たが,塀から降りて中庭に立ち入る意思はなかった。甲には建造物侵入罪が成立する。
- ①ア イ
- ②イ ウ
- ③イ オ正解
- ④ウ エ
- ⑤ウ オ
解説
要点
住居侵入罪・建造物侵入罪の「侵入」とは、判例上、住居権者・管理権者の意思に反する立入りをいう。住居性は賃貸借契約などの権原ではなく現に起臥寝食に使用している事実で決まり、外形的な承諾があっても真意に反すれば侵入に当たる。客体となる「建造物」には囲繞地のほか、建物と一体となって外部からの干渉を排除する作用を果たす塀も含まれる。
結論
正しいのはイとオであり、選択肢3が正解である。イは契約関係の有無にかかわらず現に居住する者の意思に反する立入りを住居侵入とする判例の考え方に合致し、オは庁舎建物と一体となってその利用に供されている塀も建造物侵入罪の客体に当たるとする判例に合致するためである。
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出典:法務省「平成24年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
