平成24年 司法試験 短答式 刑法 第8問 解説
問題
信用毀損罪又は名誉毀損罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。
1.甲は,スーパーマーケットVに嫌がらせをする目的で,誰でも閲覧できるインターネット上の掲示板に「Vで買ったオレンジジュースに異物が混入していた。」旨の嘘の書き込みをした。甲には信用毀損罪は成立しない。
2.教授甲は,数百人が出席している講演会で,日頃意見の対立するV教授がX県出身であったことから,誰のことを言っているかは分からないようにしつつ,「X県人は頭が悪い。」と述べた。甲には名誉毀損罪が成立する。
3.甲は,以前交際していたV女が別の男性と婚約したことを知り,腹いせに,V女の両親に宛てて,「V女には他にも数人男がいる。V女の好色は目に余る。」などと嘘の事実を記載した手紙を匿名で郵送した。甲には名誉毀損罪は成立しない。
4.甲は,インターネット上の書き込みを信じ,特段の調査をすることなく,誰でも閲覧できるインターネット上の掲示板に「ラーメン店Vの経営母体は暴力団Xである。」旨の真実に反する書き込みをした。甲には名誉毀損罪は成立しない。
5.甲は,かつて甲をいじめたVが破産したことを知り,仕返しをするため,「Vは破産者である。」と書かれたビラを多数人に配布した。甲には信用毀損罪は成立しない。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5正解
- ⑩4と5
解説
要点
信用毀損罪(233条)は「虚偽の風説の流布」「偽計」が要件であり真実の摘示では成立しないが、その「信用」は支払能力・支払意思に限らず商品の品質等に対する社会的信頼も含む(最判平成15年3月11日)。名誉毀損罪(230条1項)では『公然性』(伝播可能性)・『被害者の特定性』・『事実の摘示』の有無、および真実性誤信の相当性(夕刊和歌山時事事件)が成否を分ける。
結論
正しいのは記述3と記述5であり、選択肢9(3と5)が正解である。記述3は近親者にのみ送付した手紙で伝播可能性が否定され公然性を欠くため名誉毀損罪不成立、記述5は真実の事実(Vの破産)を摘示したにすぎず信用毀損罪の「虚偽の風説」「偽計」の要件を欠くため不成立となる。
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出典:法務省「平成24年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
