平成23年 司法試験 短答式 民事訴訟法 第72問 解説
問題
Xは,Yに1000万円を貸し付けたとして,Yに対して,そのうち400万円の貸金の返還を求める訴えを提起した。これに対し,Yは,請求棄却の判決を求め,当該貸付けの事実を否認するとともに,消滅時効又は相殺による当該貸金債権の消滅を主張した。この事例に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。
1.第一審裁判所が,XのYに対する貸付けの事実を認めた上で,Yの主張する消滅時効を理由にXの請求を全部棄却した場合,Yは,貸付けの事実を認めたことを不服として控訴することができる。
2.第一審裁判所がXの請求を全部認容した場合,Xは,Yに対する請求を1000万円に拡張するために控訴することができる。
3.第一審裁判所がYの主張する相殺を理由にXの請求を全部棄却した場合,Yは,これを不服として控訴することができる。
4.第一審裁判所がXの請求を全部認容し,Yがこれを不服として控訴した場合,Xは,附帯控訴の方式により,請求を1000万円に拡張することができる。
5.第一審裁判所が,Xの請求を全部認容したが,訴訟費用の一部をXの負担とした場合,Xは,訴訟費用の負担の裁判を不服として控訴することができる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4正解
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
控訴の利益は、申立てと判決主文(既判力の生じる範囲)との対比による不服の有無で判断する(形式的不服説)。理由中の判断(貸付けの事実・消滅時効)には既判力が生じないため全部勝訴者は控訴できないが、相殺の抗弁は理由中の判断でも既判力が生じる(民訴法114条2項)ため、相殺を認めて勝訴した被告にも控訴の利益がある。また、全部勝訴した原告は控訴できないが、相手方の控訴に対し附帯控訴の方式で請求を拡張することはできる。
結論
正しいのは命題3と命題4であり、公式解答である選択肢8(3と4)が妥当である。相殺の抗弁を認容して勝訴したYには既判力ある不利益判断(反対債権の消滅)があるため控訴の利益が認められ(命題3)、また附帯控訴によって被控訴人が請求を拡張することは判例上認められている(命題4)。
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出典:法務省「平成23年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
