平成23年 司法試験 短答式 商法 第55問 解説
問題
甲は,乙に対する売買代金の支払のために,乙を受取人とする確定日払の約束手形を作成して,乙に交付したところ,これを乙から預かった丙が,甲及び乙の同意なく,受取人乙の記載を抹消して受取人欄を空欄とした。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.この手形は,丙による受取人乙の記載の抹消により,白地手形となる。
イ.甲の手形金を支払う義務は,丙による受取人乙の記載の抹消により,消滅しない。
ウ.丙が受取人欄に自己の名前を記載して満期に甲に手形金の請求をした場合,甲は,丙に対し,手形金を支払う義務を負わない。
エ.丙が受取人欄に自己の名前を記載して満期前に丁に裏書をした場合において,その裏書が無担保裏書でないときは,丙に対する遡求権が発生する。
オ.手形上の権利が時効により消滅した場合,丙は,利得償還請求権を取得する。
- ①ア ウ
- ②ア オ正解
- ③イ エ
- ④イ オ
- ⑤ウ エ
解説
要点
手形要件を無権限で抹消・変更する行為は「白地補充権の付与」ではなく「変造」であり、手形法69条により変造前署名者は原文言、変造後署名者は変造文言に従って責任を負う。無権限で記載を抹消した者自身は正当な権利者にはなれない。
結論
誤っているのはアとオであり、選択肢2が正しい。丙による受取人欄の無権限抹消は白地手形化ではなく変造にあたり(ア誤り)、変造によって権利者となれない丙は時効消滅後の利得償還請求権も取得しない(オ誤り)。イ・ウ・エは手形法69条の変造理論から正しく導かれる。
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出典:法務省「平成23年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
