平成23年 司法試験 短答式 民法 第23問 解説
問題
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消滅時効期間の経過した債権が,その期間経過以前に債務者の有する反対債権と相殺適状にあった場合には,消滅時効期間の経過した債権を有する債権者は,債務者による消滅時効の援用の前後を問わず,相殺をすることができる。
イ.債務者が受働債権の譲受人に対し相殺をもって対抗することができる場合には,その相殺の意思表示は,受働債権の譲渡人にすれば足りる。
ウ.不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし,不法行為に基づく損害賠償債権以外の債権を受働債権とする相殺は,許される。
エ.請負人の注文者に対する請負代金債権と,注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は,同時履行の関係にあるため,注文者及び請負人は,原則として共に相殺することができないが,双方の債権額が等しい場合には例外として相殺をすることができる。
オ.有価証券に表章された金銭債権の債務者は,その債権者に対して有する弁済期にある自己の金銭債権を自働債権とし,有価証券に表章された金銭債権を受働債権として相殺する場合であっても,有価証券の占有を取得する必要はない。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③イ エ正解
- ④ウ オ
- ⑤エ オ
解説
要点
相殺の可否は「誰に対する意思表示か」「自働債権に抗弁権が付着していないか」「時効完成前の相殺適状」「証券の占有要否」という個別の要件ごとに判例準則を思い出して検討する。イは相殺の意思表示を譲受人にすべき点、エは請負代金債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権は同時履行関係に立つが判例は相殺を認める点(最判平9.2.14)が誤りのポイント。
結論
誤っているのはイとエであり、選択肢3が正解である。イは相殺の意思表示を誰にすべきかという点で、エは同時履行関係にある請負代金債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権の相殺の可否という点で、いずれも判例の理解を誤っている。
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出典:法務省「平成23年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
