平成22年 司法試験 短答式 民法 第16問 解説
問題
安全配慮義務に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.使用者が労働者に対して負担する安全配慮義務に違反したことを理由として損害賠償を請求する訴訟においては,損害賠償を請求する者が,使用者の義務内容を特定し,かつ,義務違反に該当する事実を主張立証する責任を負う。
イ.安全配慮義務に違反したことを理由として損害賠償を請求する場合には,使用者が負う損害賠償債務は,請求を受けた日が経過した時から遅滞に陥る。
ウ.安全配慮義務は,使用者が労働者の生命及び健康等の安全を確保する包括的な義務であるから,使用者の履行補助者が道路交通法に基づいて負うべき注意義務に違反した場合には,その注意義務違反を理由として,使用者の安全配慮義務違反が認められる。
エ.労働者の勤務場所に第三者が侵入して労働者に危害を加えた場合には,その第三者による故意の加害行為が介在していることから,使用者は,安全配慮義務違反による損害賠償責任を負うことはない。
オ.安全配慮義務は,特別な社会的接触の関係に入った当事者間において信義則上認められるものであるから,元請企業が下請企業を用いる場合には,元請企業は,下請企業に雇用される労働者に対しても,安全配慮義務を負うことがある。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③イ オ
- ④ウ エ正解
- ⑤エ オ
解説
要点
安全配慮義務は使用者の包括的な注意義務であるが、履行補助者が道路交通法等により当然に負う通常の注意義務はその内容に含まれず、他方、第三者の故意の加害行為が介在しても事情次第で安全配慮義務違反は肯定されうる。遅滞の起算点(請求を受けた日の翌日)と主張立証責任の所在も頻出。
結論
誤っているのはウとエであり、選択肢4が正解である。ウは履行補助者の個別法令上の注意義務違反がそのまま安全配慮義務違反になるとした点が誤りであり、エは第三者の故意行為が介在すれば使用者は一切責任を負わないと断定した点が誤りである。
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出典:法務省「平成22年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
