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平成22年 司法試験 短答式 刑法 第3問 解説

平22司法 第3問刑法窃盗罪の過去問

問題

窃盗罪の実行の着手に関する次の1から5までの各記述における甲の行為を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。 1.甲は,乙がズボンのポケットに財布を入れるのを見て,同財布をすり取ろうとして同ポケットに手を差し伸べ,ポケットの外側に触れた。この場合,財布に触っていないので,窃盗罪の実行の着手は認められない。 2.甲は,電柱に架設されている電話線を盗もうと考え,電柱に登って切断用具を電話線に当て,その切断を始めたが,警察官に発見されたため,電話線の被膜を傷付けただけにとどまった。この場合,電話線を切断していなくても,窃盗罪の実行の着手が認められる。 3.甲は,乙所有の自動車を運転して盗み出すため,不正に入手した同自動車のスペアキーを使い,駐車場に駐車してある同自動車の運転席のドアを開けた。この場合,運転席に乗り込む前でも,窃盗罪の実行の着手が認められる。 4.甲は,金品を盗もうと考え,深夜,無人の店舗内において,懐中電灯で真暗な店内を照らしたところ,食品類が積んであることが分かったが,なるべく現金を盗みたいと思い,現金がある精算レジに近づいた。この場合,未だレジ内を物色していないので,窃盗罪の実行の着手は認められない。 5.甲は,不正に取得した乙名義のキャッシュカードを使用して同人の預金口座から現金を引き出そうと考え,同カードを銀行の現金自動預払機に挿入し,暗証番号を入力した。甲は,同カードの正しい暗証番号を知っていたが,その入力を誤ったため払戻しを受けることができなかった場合でも,窃盗罪の実行の着手が認められる。 ※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
  1. ①1と2
  2. ②1と3
  3. ③1と4正解
  4. ④1と5
  5. ⑤2と3
  6. ⑥2と4
  7. ⑦2と5
  8. ⑧3と4
  9. ⑨3と5
  10. ⑩4と5

解説

要点
窃盗罪の実行の着手は「財物への現実の接触」ではなく「財物に対する事実上の支配を侵害する現実的危険性のある行為(財物奪取に密接な行為)」の開始に着目して判断する。すりのポケット外側への接触(最決昭29.5.6)、店舗内で物色に取りかかり現金のある場所へ近づく行為(最決昭40.3.9)はいずれも着手が肯定される典型例である。

結論

誤っている記述は1と4であり、選択肢3(1と4)が正解である。すり取りの場合はポケットの外側に手を触れた段階(いわゆる「あたり行為」)で、深夜店舗窃盗の場合は物色に取りかかり現金のある精算レジに近づいた段階で、それぞれ判例上すでに窃盗罪の実行の着手が認められるため、これらを「着手なし」とする1・4の記述は誤りである。

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出典:法務省「平成22年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。