平成22年 司法試験 短答式 刑法 第20問ア 解説
問題
次の【事例】における甲の罪責を判例の立場に従って検討し,後記アからエまでの【罪名】のうち,その罪名に係る犯罪が成立する場合には1を,成立しない場合には2を選びなさい。【事 例】甲は,乙及びその妻子全員が1週間の旅行に出ていて留守であると聞いていた乙宅に,窃盗の目的で侵入し,金庫を開けたところ,乙の妻子は旅行中だったものの,一人で在宅していた乙に発見され,「泥棒」と叫ばれた。甲は,捕まっては大変だと思い,乙にナイフを突き付け,「静かにしろ。」と言ったところ,乙は,慌てて逃げ出そうとして転倒し,暖炉の角に頭部をぶつけた結果,脳内出血を起こして死亡した。甲は,乙の死亡を確認した上,金庫の中にあった多量の宝石と多額の現金を奪った後,犯行の痕跡を消し去ろうと考えて乙宅に火を放ち,乙宅は全焼した。その後,甲は,上記宝石を丙に売却することとしたが,その際,上記事情を知る丁に依頼して,丁が運転する自動車に乗り,丁と一緒に同宝石を丙宅まで運搬した。【罪 名】
ア.強盗致死罪
- ①その罪名に係る犯罪が成立する正解
- ②成立しない
解説
要点
窃盗の実行に着手した後に発見され、逮捕を免れる目的で反抗を抑圧するに足りる脅迫を加えれば事後強盗罪(238条)が成立して「強盗」として扱われる(本件では死後に財物を奪っている点を捉え、新たな奪取意思に基づく居直り強盗=236条と構成する余地もある)。その脅迫を受けた被害者が逃走しようとして転倒・死亡した場合、直接手を下していなくても強盗致死罪(240条後段)が成立する。
結論
甲には強盗致死罪(刑法240条後段)が成立する。甲は窃盗の実行に着手した後に乙に発見され、逮捕を免れるためにナイフを突き付けて反抗を抑圧するに足りる脅迫を加えており、「強盗」として扱われる(事後強盗罪・238条)。その脅迫を受けた乙が逃げようとして転倒し死亡した結果についても因果関係が認められるからである。
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出典:法務省「平成22年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
