令和6年 予備試験 短答式 民法 第6問 解説
問題
留置権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.AがA所有の甲土地をBに売却し引き渡した後、Aが甲土地をCに売却してAからCへの所有権移転登記がされたときは、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができる。
イ.甲建物の賃借人でありその引渡しを受けたAが、その所有者であり賃貸人であるBに対する有益費償還請求権を被担保債権として甲建物につき留置権を行使するときは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払うことを要しない。
ウ.AがB所有の時計をCに売り、引き渡したものの、Cに即時取得が成立しないときは、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。
エ.A所有の甲土地を建物所有目的で賃借し、その引渡しを受けていたBが甲土地上に存するB所有の建物につき建物買取請求権を行使したときは、Bは、Aからの甲土地の明渡請求に対し、その建物の代金債権を被担保債権として、留置権を行使することができる。
オ.A所有の時計を留置権に基づいて留置しているBが、その時計をAの承諾を得ずにCに賃貸したときは、Aは、留置権の消滅を請求することができる。
- ①ア イ正解
- ②ア オ
- ③イ ウ
- ④ウ エ
- ⑤エ オ
解説
要点
留置権の成立には『その物に関して生じた債権』であることが必要であり、二重譲渡(最判昭43.11.21)や他人物売買(最判昭51.6.17)のように物の所有権が他人に帰属している場面での履行不能に基づく損害賠償請求権は、その所有者との関係で牽連性を欠き被担保債権とならない。また留置権者が留置物を使用した場合、保存に必要な使用は許されても、その使用利益は不当利得として返還義務を負う。
結論
誤っている記述はアとイであり、選択肢1が正解である。アは二重譲渡において後れた買主が損害賠償請求権を被担保債権として新所有者に留置権を主張できないという判例の趣旨に反し、イは留置権者が保存に必要な使用をした場合でもその使用利益を不当利得として返還すべきという判例の趣旨に反する。
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出典:法務省「令和6年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
