令和6年 予備試験 短答式 民事訴訟法 第42問 解説
問題
確定判決の既判力に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.買主Xが売主Yに対し、売買契約により建物の所有権を取得したとして所有権の確認を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、同一の建物について所有権の確認を求めて訴えを提起し、その訴状において上記売買契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした場合には、後訴裁判所がYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
イ.土地の賃貸人Xが、その土地上に建物を所有する賃借人Yに対し、賃貸借契約の終了に基づき、建物を収去して土地を明け渡すことを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において建物買取請求権を行使するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が建物買取請求権行使の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
ウ.受贈者Xが贈与者Yに対し、贈与契約に基づく土地の引渡しを求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において上記贈与契約は書面によらないものであるとして解除するとの意思表示をした場合には、後訴裁判所が解除の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
エ.売主Xが買主Yに対し、絵画の売買契約が無効であったと主張して、所有権に基づく絵画の引渡しを求める訴えを提起し、請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対し、再び所有権に基づく同一の絵画の引渡しを求める訴えを提起し、その訴状においてYが前訴判決の確定後も代金を支払わないとして上記売買契約を解除するとの意思表示をした場合に、後訴裁判所がXの主張を認めてXの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反しない。
オ.貸主Xが借主Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金の返還を求める訴えを提起し、請求を認容する判決が確定した後、YがXに対し、請求異議の訴えを提起し、その訴状において、前訴における事実審の口頭弁論終結前から存在し、かつ相殺適状にあったXに対する反対債権をもって相殺する旨の意思表示をした場合には、後訴裁判所が相殺の意思表示の効果を異議の事由として認めてYの請求を認容する判決をすることは、前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
- ①ア ウ
- ②ア エ
- ③イ エ
- ④イ オ正解
- ⑤ウ オ
解説
要点
既判力の時的限界(基準時後の遮断効)は形成権の性質ごとに異なり、取消権・(債務不履行によらない)解除権は基準時前に発生していれば遮断されるが、建物買取請求権・相殺権は権利の性質上、基準時前に存在していても行使自体は基準時後の新たな事由として遮断されない。
結論
誤っている記述はイとオである。イの建物買取請求権とオの相殺権は、いずれも判例上、既判力の基準時後に行使しても前訴の既判力に抵触せず、後訴でこれを異議事由として認めることができるとされているのに、問題文はこれを「反し許されない」としており誤り。したがって正解は選択肢4。
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出典:法務省「令和6年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
