令和6年 予備試験 短答式 民法 第10問 解説
問題
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起したときは、Bの危険負担の抗弁は、BがAに対し代金の支払を拒絶することを主張して行使しなければならない。
イ.甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起し、Bの危険負担の抗弁の主張が認められるときは、請求棄却の判決がされる。
ウ.甲の損傷がBへの引渡し前に生じた場合には、過分の費用を要することなく甲を契約の内容に適合した状態に修復して引き渡すことができるときであっても、Bは、危険負担の抗弁を主張して、代金の一部の支払を拒むことができる。
エ.AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されていた場合において、甲の滅失がBへの引渡し後であったときは、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
オ.AがBに甲を引き渡そうとしたところ、その品質が契約の内容に適合しないものであったためにBがその受領を拒んだときは、その後に甲の滅失が生じたとしても、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
- ①ア イ
- ②ア オ
- ③イ エ
- ④ウ エ正解
- ⑤ウ オ
解説
要点
危険移転の基準は所有権移転時期ではなく「引渡し」であり(民法567条1項)、引渡し前の滅失・損傷は536条1項の危険負担(履行拒絶権)、引渡し後は567条1項により買主は代金支払を拒めない。また、過分の費用を要せず契約内容に適合する状態に修補できる損傷は履行不能ではないから、危険負担ではなく追完請求・同時履行の問題として処理する。
結論
誤っているのはウとエであり、正解は選択肢4である。ウは過分の費用を要せず修補できる損傷は履行不能ではなく危険負担の問題にならない点を、エは所有権移転特約があっても危険移転の基準は引渡しである点を、それぞれ見落としている。
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出典:法務省「令和6年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
