令和5年 予備試験 短答式 商法 第30問 解説
問題
AがBに対して振り出した約束手形に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.AがBの強迫を理由に当該約束手形の振出しに係る意思表示を取り消した場合において、Bがそのことにつき善意のCに対して当該約束手形を裏書譲渡したときは、Aは、Cからの当該約束手形に係る手形金請求を拒むことができる。
イ.AB間の当該約束手形振出しの原因関係上の債務と当該約束手形上の債務が併存する場合において、当該原因関係上の債務が履行されたときは、Aは、Bからの当該約束手形に係る手形金請求を拒むことができる。
ウ.AB間の当該約束手形振出しの原因関係上の債務が当該約束手形の振出しによって消滅するか否かについての当事者の意思が明らかでない場合には、当該約束手形の振出しは、当該原因関係上の債務の支払に代えてされたものと推定される。
エ.AB間の当該約束手形振出しの原因関係上の債務と当該約束手形上の債務が併存する場合には、Aは、Bからの当該原因関係上の債務の履行の請求について、当該原因関係上の債務の履行は当該約束手形の返還と引換えにする旨を主張することができない。
オ.Bが、AのBに対する人的抗弁につき善意のCに対して当該約束手形を裏書譲渡し、Cが、当該人的抗弁につき悪意のDに対して当該約束手形を裏書譲渡した場合には、Aは、Dからの当該約束手形に係る手形金請求を拒むことができない。
- ①ア ウ
- ②ア エ
- ③イ ウ
- ④イ オ正解
- ⑤エ オ
解説
要点
強迫による手形行為の取消しは、手形法17条の人的抗弁(または権利外観法理)として善意の第三者には対抗できない。原因関係と手形関係が併存する場合、原因債務の履行は手形金請求に対する人的抗弁となり、また原因債務の履行請求に対しては手形の返還との引換給付を主張できる。原因債務消滅についての意思が不明なら「支払のため」と推定され、人的抗弁は一度善意者を経由すると切断され、その後の悪意取得者に対しても復活しない。
結論
正しい記述はイとオであり、選択肢4が正解である。手形と原因債務が併存する場合の原因債務履行による手形金請求の制限(イ)と、人的抗弁が一度善意者を経由すれば以後復活しない(オ)という判例の考え方を正確に理解しているかが問われている。
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出典:法務省「令和5年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
