令和5年 予備試験 短答式 刑法 第6問 解説
問題
放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。
1.人が居住する木造建物Aと人が居住していない木造建物Bは、木造の渡り廊下で接合され、渡り廊下を通じて人の行き来のある構造となっていた。甲は、これらの事実を認識した上で、その当時誰もいなかった建物Bに放火して建物Bを焼損した。この場合、建物Aに延焼しなければ、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
2.甲は、Vがその家族と共に居住する木造家屋に放火してこれを焼損した。この場合、Vとその家族が1泊2日の旅行中で不在であり、甲がそのことを認識して放火したのであれば、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
3.甲は、妻と二人で居住する木造家屋を燃やそうと考え、壁に掛けられたカレンダーに火をつけた。この場合、上記カレンダーが焼損した時点で、これに気付いた妻に火を消し止められ、他に燃え移らなかったのであれば、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
4.甲は、火災保険金を詐取する目的で、自己が単独で居住し、かつ、誰も現在しない木造家屋に放火してこれを焼損した。この場合、刑法第108条の「現に人が住居に使用し又は現に人がいる」の「人」に犯人は含まれないから、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
5.甲は、Vが居住する木造家屋の押し入れの床にガソリンをまいて火をつけたところ、同押し入れの床板が独立して燃焼するに至ったが、他に燃え移る前に消し止められた。この場合、上記家屋の効用を失うに至っていなければ、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4正解
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
現住建造物等放火罪は①独立燃焼説(目的物が独立して燃焼を継続し得る状態に至れば既遂)、②現住性は犯人以外の者の居住・現在で判断(一時不在でも現住性は失われない)、③構造上・機能上一体の建物は全体を一個の現住建造物として扱う、という3つの判例準則を押さえれば足りる。
結論
正しいのは記述3と記述4であり、選択肢8が正解である。判例は放火罪の既遂時期について目的物の一部が独立して燃焼を継続し得る状態(独立燃焼)に至れば既遂とする独立燃焼説を採り、また現住性の「人」からは犯人自身を除外して判断する立場をとるためである。
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出典:法務省「令和5年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
