令和3年 予備試験 短答式 刑法 第2問 解説
問題
強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①甲は,銭湯の脱衣場で窃盗をしようと考え,客の財布を手に取って在中する金額を確認中,その様子を目撃した乙から声を掛けられたため,逮捕を免れる目的で,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて加療約1か月間を要する傷害を負わせた。この場合,甲には,事後強盗罪及び強盗致傷罪が成立し,両罪は観念的競合となる。
- ②甲は,電車内で寝ていた乙の財布を盗んで電車を降りたが,乙が目を覚まして追い掛けてきたため,逮捕を免れる目的で,乙に暴行を加えたところ,乙が転倒して重傷を負い,反抗が抑圧された状態に至った。この場合,甲の暴行の程度を問わず,甲には,強盗致傷罪が成立する。
- ③甲は,留守宅に侵入して窃盗をしようと考え,金品を物色中に家人が帰ってきたら同人に反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫を加えて逃げる意図でサバイバルナイフを携帯し,住宅街を徘徊して侵入に適した留守宅を探したが,これを発見できず,侵入を断念した。この場合,甲には,強盗予備罪が成立する。正解
- ④甲は,窃盗の目的で乙宅に侵入し,金品を物色中,乙に発見されたため,この機会に乙に暴行を加えて金品を奪おうと考え,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え,金品を奪った。この場合,甲には,事後強盗罪が成立する。
- ⑤甲は,乙宅に侵入して財布を盗んだ後,誰にも発見されずに1キロメートル離れた公園へ移動して財布内の現金を確認した。しかし,甲は,その金額に満足せず再度乙宅で窃盗をしようと考え,乙宅を出た30分後に乙宅に戻り,その玄関扉を開けようとしたところ,帰宅していた乙に発見されたため,逮捕を免れる目的で,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えた。この場合,甲には,事後強盗罪が成立する。
解説
要点
事後強盗罪の成否は、①238条所定の目的による暴行・脅迫か、②それが「窃盗の機会」の継続中か(時間的場所的近接性・追跡の継続)、③反抗を抑圧するに足りる程度かで判断する。窃盗が未遂でも逮捕免脱目的なら主体となり得る。強盗予備罪は事後強盗目的の準備行為にも成立する(最判昭和54年11月19日)。
結論
選択肢3が正しい。事後強盗の目的で凶器を携帯し犯行対象を探した行為は、判例上,強盗の予備行為として強盗予備罪(刑法237条)の成立が認められている。他の選択肢はいずれも,事後強盗罪の成立要件(238条所定の目的の有無,窃盗の機会の継続性,暴行・脅迫の程度)や罪数処理を誤って理解している。
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出典:法務省「令和3年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
