令和2年 予備試験 短答式 民事訴訟法 第37問 解説
問題
確定判決の既判力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。
1.XがYに対して所有権に基づき建物の明渡しを求める訴えを提起し,Xの建物の所有権の取得が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後,XがYに対して当該建物について同一の取得原因を主張して所有権の確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
2.XがYに対して売買契約の詐欺取消しを理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起し,詐欺の事実が認められないとして請求を棄却する判決が確定した後,XがYに対して当該売買契約について通謀虚偽表示による無効を理由として売買代金相当額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がXの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
3.XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し,YのXに対する金員の支払が弁済に当たるとして請求を棄却する判決が確定した後,YがXに対して当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその金員の支払の前に債務免除があったとして,支払った金員の額の不当利得の返還を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所がYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
4.XがYに対して土地の所有権の確認を求める訴えを提起し,請求を認容する判決が確定した後,YがXに対して当該土地の所有権の確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所が,当該土地について前訴の口頭弁論の終結後にXから所有権を取得したとのYの主張を認めてYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
5.XがYに対して消費貸借契約に基づき貸金の返還を求める訴えを提起し,請求を認容する判決が確定した後,Yが,当該消費貸借契約に基づく貸金債務についてその訴訟の口頭弁論の終結前に時効期間が経過していたとして消滅時効を援用し,Xに対して債務の不存在確認を求める訴えを提起した場合において,後訴裁判所が当該貸金債務の時効消滅を理由にYの請求を認容する判決をすることは,前訴の確定判決の既判力に反し許されない。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5正解
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
既判力は訴訟物についてのみ生じ(民訴法114条1項)、基準時(事実審口頭弁論終結時)前に存在した事由は理由の如何を問わず遮断されるが、基準時後の新事由や、そもそも訴訟物・審判対象が異なる場合には既判力は及ばない。この二つの視点(物的範囲と時的限界)を各肢に当てはめて判断する。
結論
正しいのは記述2と記述5であり、選択肢7が正解である。記述2は、前訴で棄却された不当利得返還請求と同一の訴訟物について基準時前の別の無効原因を持ち出す蒸し返しであり、記述5は基準時前に時効期間が経過していた消滅時効を後訴で援用して同一の債務の不存在を主張する場面であって、いずれも既判力の遮断効により後訴での請求認容は許されない。
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出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
