平成30年 予備試験 短答式 民事訴訟法 第31問 解説
問題
Xは,Yに対し,甲建物を賃貸した。この賃貸借契約においては,賃料,債務不履行に基づく損害賠償金その他の賃貸借契約に基づきYがXに支払う一切の金員は,Xが営む設計事務所に持参する方法により支払うものとされていた。その後,Yが賃料の支払を怠ったため,Xは,賃貸借契約を解除したが,Yは,甲建物の使用を続けている。そこで,Xは,Yに対し,①賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求として甲建物の明渡し,②賃貸借契約に基づく賃料の支払,③賃貸借契約終了による目的物返還義務の履行遅滞に基づく賃料相当損害金の支払を併せて求める訴え(以下「本件訴え」という。)を提起することにした。本件訴えの管轄に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。なお,X及びYは,いずれも自然人とし,各記述中の各所在地を管轄する裁判所は,いずれも異なるものとする。
- ①Xは,本件訴えを,Xの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。
- ②Xは,本件訴えを,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,Yの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。
- ③Xは,本件訴えを,Yの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。
- ④Xは,本件訴えを,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,Xの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。正解
- ⑤Xは,本件訴えを,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。
解説
要点
複数請求を併合提起する場合、いずれか一つの請求について管轄が認められる裁判所であれば、民訴法7条により他の請求も含めて全部について提起できる。義務履行地(5条1号)は、金銭債務なら持参債務の原則から債権者(原告)の住所地となり得るが、本問は支払場所を設計事務所とする特約があるため、Xの自宅は義務履行地にならない点が決め手。
結論
選択肢4が正しい。甲建物の所在地は①の明渡請求について「不動産に関する訴え」の特別裁判籍(民訴法5条12号)があり、民訴法7条により②③の金銭請求も併せて提起できる。他方、Xの自宅の所在地は、支払場所の特約があるため義務履行地にもならず、いずれの請求についても管轄原因がないため提起できない。
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出典:法務省「平成30年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
